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やくしまに暮らして

大野 睦  /  2017年7月28日  /  コミュニティ, カルチャー

1993年、大学生だった私は父と一緒に6月に屋久島を訪れた。世界自然遺産登録の半年前のことである。それが私と屋久島との出会いで、このとき私は大学を卒業したら屋久島に住みたいと思った。梅雨時期の屋久島に来たにも関わらず、一週間の滞在中に雨に降られることもなく、初夏の南国の海と緑深い森を楽しんで帰り、それから3年後、屋久島に移り住んだ。幼少期より自然が好き、動物が好きだった私が求めていた土地はこの屋久島だと強く確信したのである。その理由は日本であること。海があって山があって川があって、そこに暮らす人びとの社会がある、異国的な憧れや感動とはまた違い、凝縮された日本らしさを屋久島で感じた。その屋久島でガイドとして経験を積んでいくぞと意気込んでいた。

早速、屋久島の山での研修がはじまる。いまでも鮮明に思い出すのがはじめての縄文杉登山。往復10時間、22キロメートルの道のりもさながら、屋久島の雨のことも当然のごとくさっぱりわかっていなかった。はじめての縄文杉登山でそのことを身をもって感じることとなる。20数年経ったいまでも、そのはじめての縄文杉との対面の日の思い出が、自分の雨具がまったく機能せず、全身ずぶ濡れになったことしか思い出せないほどだ。その後、まずしたことといえば、「あとで返すから登山用の良い雨具買って送ってほしい」と親に電話をしたこと。その代金を親に返したかは忘れたけれど、その日のことは忘れない。それから年月は経ち、往年の中高年登山ブームから、山ガール、癒しブームなど、さまざまな時代背景とともに、機能性が高く、かつ洒落た登山用のウェアなどが出回るようになり、選び方すらもう20年前とはまったく違うものになった。

屋久島と言えば林扶美子の小説『浮雲』で月に35日雨が降ると表されたように年間雨量が桁違いに多い。東京や大阪では年間1500ミリにも満たないが、屋久島では10000ミリにもなる。「毎日雨が降っているのでしょ?」「晴れることってあるんですか?」などとまで聞かれることもよくあるが、それだけの雨が降るのは山間部でのことである。とはいえ春の新緑の季節の長雨と梅雨時期の止まない雨には、正直自分にカビが生えるのではないかと思うこともあるが、屋久島じゅうでいつでもどこでも雨が降っているのではなく、屋久島のどこかでは降っている、というのが実際のところ。その雨のおかげで屋久島はその水力を利用し発電を行っている。もっぱら雨の日ばかりの暮らしなのではなく、それだけの雨だからこそ美しい森は育まれ、私たちの暮らしを支えているのである。海があって、山があって、川があって、水に困ることのない暮らし。それこそが日本らしさ、日本の誇りのひとつではないかと思う。

それだけの雨量があるからこそ、緑豊かな森があることは言うまでもない。2年前に起きた隣りの島、口永良部島の大噴火。その降灰は屋久島にも飛来し、森を覆うまでになったのだが、翌日の雨はその灰をすべて洗い流すほど。また、島であるが故、人びとの暮らす里は沿岸部であるが、海風によって運ばれる潮によって車が錆びやすい。だがそれもまた雨が洗い流してくれる。自然の恩恵を余すことなく受け、屋久島の暮らしは成り立っている。

ガイドとして森を歩くうえで、一日中雨に打たれつづけることは珍しくない。はじめての縄文杉登山で衝撃を受けた私はその後、当時雨具として画期的な存在であったゴアテックスの雨具を愛用していたが、それでも歩くことで中からは自分の体温と雨による濡れ。どれだけ機能性の高い雨具を着用しても、濡れることは避けられない日々。屋久島だから仕方がないと思う部分もあり、一日中雨に打たれても快適でいられる雨具などないと思う反面、どこかでこの屋久島の森を歩くのに適した雨具が出てこないかと期待を馳せる日々でもあった。

そんなとき、パタゴニアから新しい雨具クラウド・リッジの商品の案内が届いた。正直、最初はそれでもあまり期待はしていなかった。しかしながら、クラウド・リッジが日本の山を歩くことを想定して商品開発を進めてきたことを知り、疑念は期待と変わる。商品が届いてから数か月、なかなかクラウド・リッジを着用する機会がなく、ザックの中で温められる日々がつづいた。そしてついに日の目を見ることが出来た日。その日は梅雨真っ盛りの屋久島で気温も高め、防水性だけでなく通気性も確認するには最適の日だった。もちろんトレッキングで使用するうえでは動きを妨げない機能性も重要なポイントになる。20数年前、雨具はこの仕事でいちばん大事な道具だと身をもって感じたことを思い出した。屋久島では雨の森がひと際美しい。その森で一日中快適で過ごすことが出来れば、その美しい雨に打たれることが何より楽しい。こうしてクラウド・リッジは屋久島の雨の森を楽しむ私の最高の道具になった。

雨の屋久島は本当に美しい。子供のころ、長靴を買ってもらってうれしくて水溜りをわざと歩いたように、雨の日は森へ出かけたくなる。「こんな雨でもツアーはあるんですか?」と言われたこともあるが、雨の日は中止となれば屋久島では仕事にならない。もちろん、安全確保が絶対条件として、その美しい雨の森へと出かける。雨模様にすっかり気分も下がり気味だったお客様も、緑がいきいきとした様子、とめどなく落ちる雫を眺めているうちに、この美しい森の景色が雨だからこそだと感じ、ツアーが終わった後には清清しい笑顔を見せてくれた。

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