メッセンジャーたち:ベアーズ・イヤーズとグランド・ステアケース・エスカランテを走る250マイルリレー
トラックのテールゲートに腰かけ、ヘッドランプの光で吐く息が白く渦巻くのを見ていると、遠くで靴が土を踏む音が聞こえた。こちらに向かうランナーはまだ1.6キロも先だが、午前2時の静まり返った砂漠で聞こえないものなどない。暗闇では音が遠くまで響くのだ。
私たちがいる場所は、国定記念物であるベアーズ・イヤーズとグランド・ステアケース・エスカランテを2日間で結ぶコースの中間地点だ。集まったメンバーは17人と犬3匹。つい先日トランプ大統領が、両方の国定記念物の大幅な縮小を発表したからだ。米国史上、国の指定保護地域がこれほど削減されたのは初めてのこと。私たちは意見書を提出し、政治家に働きかけ、集会に参加し、陳情書に署名したが、どれも効果はなかった。そして2月2日、ベアーズ・イヤーズ部族間連合と他の多くの団体が守ろうと闘った土地が、正式に採掘業者に開放された。
怒りと失望のなか、私たちは自分たちが最もよく知る方法「走ること」で訴えることに決めた。とてもシンプルな案で、ランナーのグループを集め、ベアーズ・イヤーズの東側からエスカランテの西側までを約10キロメートルずつに区切り、週末をかけて走破する。両方の国定記念物、ユート・マウンテン・ユート族居留地、グレン・キャニオン国立保養地、キャピトル・リーフ国立公園の端を抜けるルートを作るには、2日とかからなかった。メールを送るとチームはすぐに集まった。地元のナバホ族から、データサイエンティスト、オリンピック選手、5ドルのスニーカーを履いた善意あるダートバッグまで。ほとんどが互いを知らず、共通点と言えば、皆この場所の文化的、レクリエーション的、生態学的な重要性についてより学びたいという好奇心を持っていた。全員がランナーというわけではなかったが、走るには十分な理由だった。
針葉樹の林、雪の残る山道、静かなメサ、草木のない台地、脆くとがった岩、こだまが響く渓谷、そして人類の歴史を垣間見るような壁画を横目に走り抜けた。アウトドア・コミュニティに強い影響力を持つレン・ニスファーは、家族と一緒にこのトレイルを走って育ったそうだ。彼は、ワシは人間と「ディイン・ディネ」(ナバホ族の聖人たち)を結ぶメッセンジャーであると話し、セージの枝とワシの羽毛で作った「バトン」を渡した。ナバホ族には、コミュニケーションや儀式のパイプ役としてランナーを起用するという伝統がある。メッセージを伝えるために何百キロも走るのだと。
「ベアーズ・イヤーズとグランド・ステアケースを故郷と呼ぶ人々とその文化にとって、走ることは非常に重要なことだ。ここではリレーランナーやメッセンジャーの伝統が何百年も受け継がれている。スペイン人が馬を持ち込むまで、ランナーは他のコミュニティや部族に急ぎのメッセージを伝える重要な役割を担ってきた。現在でも、キナールダと呼ばれる女性の成人式などの通過儀礼で、走ることは重要な役割を担っている」― レン・ニスファー博士
レンと他のナバホ族のランナーがこの地について語るのを聞きながら、今回のリレーでは合計何キロ走るか、誰がベストタイムを出すかということは問題ではないと実感した。大切なのは分裂した政治情勢の中でも、先住民、アスリート、ダートバッグたちが共通の意志を持ち、みんなの土地のために団結することだ。
こうして私たちは深夜に、ユタで最も荒涼とした場所を移動しながら、暗闇を走ってくるランナーの足音を聞いていた。改めて責任を感じるとともに、この荒野は守る価値があり、その第一歩は仲間を一人、そしてまた一人と増やすことであるというメッセージを足音が運んでくれることを願った。我々の叫びは、土をしっかりと踏み鳴らす足音のように遠くまで響きわたるだろう。
2018年2月2日は、ベアーズ・イヤーズとグランド・ステアケースのナショナルモニュメントが初めて採掘産業に開放される日です。アメリカ先住民権利基金(NARF)とトランプ大統領に対する訴訟をご支援ください。詳細と寄付については、MessengersRun.comをご覧ください。
このプロジェクトを実現に導いたチームに敬意を表して:マグダ・ブレット、レン・ニシファー、ホルヘ・モレノ、ケイティー・ブエ、アリス・ベイカー、クレイグ・プレンダーガスト、キース・マディア、ワイアット・ロスコー、シャイエン・ルイス、クレア・ギャラガー、ジル・レヴィ、キャロリン・モース、レニー・ストルナド、ブリアナ・マディア、マギー・ジョージ、ダニエル・マクラフリン、グレッグ・バルキン、ジョニー・ゴール、アンディ・コクラン、そしてダグウッド、バケット、ビー、チャコ、ギズモ。