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おたくの鍋の中身、なんですか – 責任ある漁業の選択

 /  2012年2月16日 読み終えるまで8分  /  アクティビズム

スーパーマーケットや百貨店で販売されているMSCラベルの付いた製品。Photo: MSC Japan

おたくの鍋の中身、なんですか – 責任ある漁業の選択

スーパーマーケットや百貨店で販売されているMSCラベルの付いた製品。Photo: MSC Japan

地球の表面積の70%以上を覆う海洋は、自然資源やレクリエーションの機会を与えてくれる一方で、地球の天候を調整する役割も担っています。健全な海洋は海洋生物の多様性の維持だけではなく、陸に住む生物の生存も可能にします。なかでも漁業資源は貴重な食糧であると同時に、多くの人びとが漁業に従事することで暮らしを海に依存しています。日本は一人あたり年間平均60キロを超える魚介類を消費し、世界各国のあらゆる海域から魚介類を輸入している有数の水産大国です。

漁業資源の保全と海の環境保全の両立をめざし、責任ある漁業を推奨する非営利団体、MSC(Marine Stewardship Council:海洋管理協議会)が持続可能な漁業についてご紹介します。

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水産物は一度に獲り過ぎず、生態系を維持するかぎり再生してくれる稀な天然資源です。近年大西洋クロマグロの激減が報道されるようになり、当たり前のように食べていた魚にも枯渇の危機があることを多くの人が知るようになりましたが、これは大西洋クロマグロにかぎったことではありません。

FAO(The state of world fisheries and aquaculture)の2008年の発表によると、53%の魚資源がこれ以上漁獲を増やせない状態である満限まで利用されており、31%の魚資源についてはすでに乱獲・枯渇の状態です。増加しつづける人口とシフトする食生活による水産物への需要が高まるなか、水産資源を将来の世代へと受け継ぐためのひとつの選択肢があります。

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「世界を変える消費者のパワー」
MSCはイギリス・ロンドンに本部を置く国際NPOです。漁業認証と「海のエコラベル」と呼ばれているMSCエコラベルを通じて持続可能な漁業の認知を助け、消費者の力で世界の海洋保全に貢献することを目指しています。MSCの認証とエコラベル制度の仕組みはとてもシンプルです。漁業認証制度により持続可能な漁業活動を第三者が科学的見地から審査し、認証します。認証取得漁業で獲られた水産物にMSCエコラベルを表示し、エコラベル付き水産物が持続可能な漁業で獲られたものであることを消費者に保証するとともに、選択肢を提供します。消費者はエコラベル付きの水産物を選ぶことにより持続可能な漁業を応援する、という仕組みです。消費者の選ぶ力が世界の海洋と持続可能な漁業を支えるのです。

「エコラベルの信頼度」
エコラベルの制度は色々ありますが、MSC認証が世界で最も信頼できる天然水産物対象の制度だとされている理由は、その第三者による独立した厳格な審査と徹底したトレーサビリティーの確保の仕組みにあるといえます。MSC認証には2つの認証制度があります。ひとつは漁業の持続可能性を審査する漁業認証。もうひとつは、認証取得漁業からの水産物がその他の漁業からの水産物と混ざることなく消費者に届く仕組みを確保する、トレーサビリティー認証であるCoC認証です。どちらの認証審査も第三者である認定認証機関が行います。基準を作る立場のMSCが直接審査をしないことにより、制度の公正性を保っています。また審査の過程は随時公開されており、広く審査への参加を求めています。最終審査レポートもウェブサイトに掲載されます。

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水揚げされたアカガレイにMSCエコラベルのタグを付けるようす。写真:京都府漁業協同組合連合会

「持続可能な漁業とは?」
漁業を審査する際にはMSCが多くのステークホルダーとの協議のなかで設定した「持続可能で適切に管理された漁業のための環境基準」が使われます。この基準はまた、国際連合食糧農業機関(FAO)のガイドライン、「責任ある漁業のための行動規範」と「水産物エコラベルのためのガイドライン」にも準拠しています。

MSCの定義する持続可能な漁業は、以下の3つの原則に基づきます。
1. 資源の持続可能性
2. 漁業が生態系に与える影響の最少化
3. 適切な漁業管理の仕組み

「資源の持続可能性」とはその漁業が漁獲対象とする魚の豊富さのことです。魚種の生態や海域などさまざまな要素に基づき、科学的に現在の魚の量の状態を審査します。漁業活動は漁獲対象種だけでなく、海の生態系にも影響を与えます。たとえば漁獲対象の魚に依存する別の生物、意図しない魚種の漁獲、また漁具が生息域に与える影響の可能性などです。そこで「漁業が生態系に与える影響の最小化」においては、漁業が依存する生態系の構造、多様性、生産力などを維持できる形で漁業がなされているかを審査します。また漁業には適切な管理システムが重要です。いまあるルールを確実に守っていくことや、資源に変化が起こった場合の対応、また国内/国際的な漁業の管理枠組みへの参加などが「適切な漁業管理の仕組み」で審査されます。これら3つの原則はさらに31の詳細な項目に分けられ、それぞれに採点されます。

「正しいことをする」
2011年末現在、世界中で販売されているMSCエコラベル付き製品数は80カ国で13,000を超えます。海外のスーパーマーケットには天然の水産物はすべてMSC認証を受けたものに切り替えていくと発表しているところもあります。2011年末からはヨーロッパのマクドナルド約7,000店舗で、MSC認証を受けたフィレオフィッシュがお目見えしています。そのほかレストラン、企業や大学のカフェテリア、学校給食など、色々な場所やスタイルでMSC認証水産物が提供されるようになってきました。

MSCプログラムに参加する企業にとっては、水産物原料の将来に渡る安定供給もその理由のひとつかもしれません。けれどもMSC認証水産物を扱う多くの企業が、「それは、“right things to do”だから」と答えます。MSC認証が多くの企業/消費者に受け入れられている事実は、将来の世代にすばらしい資源を残すことが「正しいこと」であるという認識が急速に広まっている証拠ではないでしょうか。

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網揚げのようす。写真:京都府農林水産技術センター海洋センター

「日本で、アジアで初!」
さてここ日本では、現在3漁業がMSC認証を取得、2漁業が認証取得を目指して審査に入っています。日本初のMSC認証漁業は「京都府機船底曳網漁業連合会」によるものです。この漁業は現在のメンバー12名と小規模ですが、なんと日本のみならず、アジア初のMSC認証取得という快挙を2008年に成し遂げました。認証対象はズワイガニとアカガレイですが、これらの資源はかつて減少していました。そこで漁業者、研究機関、行政が協力して、さまざまな革新的な対策を講じました。たとえば大型の魚礁(コンクリートブロック製)を沈めて、周年操業禁止とする保護区の設置があります。この保護区はみずから海底に障害物をつくり、網を永久に引けなくするという大胆なものです。現在保護区は6か所あり、その広さは甲子園球場1,700個分に相当します。これにより資源は回復傾向を示しており、この魚礁は日本海西部の各県のカニ漁場にも設置されるようになりました。また2008年からは独自にミズガニ(脱皮直後のソフトシェルクラブ)の水揚げを禁止しました。アカガレイ製品には海のエコラベルがつけられて、スーパーなどに並んでいます。(MSCの活動開始から10周年を記念して発行された「Net Benefit-MSC認証がもたらしたもの」(日本語版PDF)には、アジア初の認証取得漁業として京都府漁連のMSC認証取得への取組みについてお読みいただけます)

日本でもMSCエコラベル付き製品は増えてきています。スーパーマーケット、宅配サービス、ギフト商品などでぜひ探してみてください。MSCのウェブサイトではエコラベル付き商品を扱うお店美味しい魚のレシピなどを紹介しています。一人でも多くの消費者に水産物の購入にも選択肢があること、そしてそれは世界の海洋環境をより良くしていくパワーをもっていることに気づいてほしいと考えます。

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持続可能な水産物を見つける最良の目印はMSCの青い海のエコラベルです。Photo: MSC Japan

また日本には京都府機船底引き網漁業連合会のように小規模ながらも資源の保全に努力し、それを証明しようとしている漁業がまだまだたくさんあります。MSC認証を取得する漁業者や、MSC認証されたシーフードを取り扱うスーパーマーケット/事業者が少しずつ増えているなか、MSCエコラベルの選択は、責任ある漁業を支援する方法のひとつといえます。詳しくはMSCのウェブサイトをご覧いただき、ご興味のある方はぜひ日本事務所へご連絡ください。

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