網から食卓へ:スー・サーモン・カンパニー
マイク・ウッドの姓は、出産というまったくの(かつ適切な)偶然によって授かった。彼はその名のごとく、木にこだわりをもっている。アラスカのスシトナ・リバーの川岸に自給自足のログハウスの名作を建てるとき、彼は周囲の北方林に行き、完璧な木を一本ずつ抱擁する厳粛な儀式のあと、喜びをもってチェーンソーで切り倒した。「これらはサーモンで大きくなった木なんだ!」と、魚が放卵後に死んだときに残す窒素についてこう語るのが彼のお気に入りだ。
いまも破壊されていない生命の輪に対するこの喜びと尊敬は、野生のスシトナ食品をアンカレッジ周辺のほとんどの地元の市場にもたらすためにマイクと僕が創業した、小さな「網から食卓へ」の商業漁業会社であるスー・サーモン・カンパニーの設立の基盤となった理想だ。僕らが最初に知り合ったのは、2013年に川に提案されていた巨大なダム建設関連の積極的行動を通してだった。マイクはそれに反対する団体(〈スシトナ・リバー・コーリション〉)の代表で、僕は彼らの努力をドキュメンタリー映画(『The Super Salmon(ザ・スーパー・サーモン)』)に撮影していた。そのときスシトナ川は、「全米第15位の川」、「サーモン回帰高で第5位の川」、「アラスカで最も訪問される水域」など、賛辞には事欠かないものの、エネルギー生産のためにコンクリートの古代技術でそれを堰き止めるという考えにより、民衆を無気力にさせていた。それは無理もないことだ。アラスカには大きなダムはない。だからそれについて議論する文化的、あるいは政治的背景があまりない。本土48州でダムによってももたらされたサーモンへの破壊的な影響の100年ですら、「よそ者の規則はここでは当てはまらない」というアラスカの怠慢さにより、一部の人にとってはたんなる概念でしかなかった。

アラスカ州スシトナ・リバーの河口付近に据え付けられた網に向かうライアン・ピーターソンとマイク・ウッド。Photo: Travis Rummel
ありがたいことに、ダムの脅威はそれ以来薄れたが、重要な疑問はまだ残っている:これからも圧力がかけられていく比類のない野生のサーモンの川という資源と、僕らはどうつながっていくのだろうか。その答えを見つける支援をするために、スー・サーモン・カンパニーで僕らは何か触覚的で社会的で楽しいことをしたいと願っている。いまごろはここで暮らす全員がそろそろサーモンでいっぱいの冷凍庫を望むときだ(この執筆時、アンカレッジでは初雪がゆるやかに降っている)。僕らにとって、そしてお客様にとって、それらが裏庭からやって来たものであることを知るのはなんと誇るべき喜びであることか。
ワークウェア
ワークウェアは私たちにとっては目新しいものではありませんが、労働を重んじるパタゴニアの一面を再考できることに胸を躍らせています。重労働に耐えるよう開発された実用主義の製品ラインを構成する作業用の上着やシャツ、ズボン、半ズボンや胸当ての付いたズボンには、非常に丈夫で長持ちする素材を使用。新たに開発したオール・シーズン・ヘンプ・キャンバスは、軽量で驚くほどの耐久性がありながら、着慣らす必要はなく、気温が上昇する日にも弾力性と自由な動きを提供し、フェアトレード・サーティファイドの縫製を採用しています。全コレクションはpatagonia.jp/workwearをご覧ください。