水がニュートックを消しつつあります。アラスカのベーリング海沿岸部の三角州に造られたこの小さなユピック族の村は、永久凍土の融解、川の侵食、インフラの崩壊への対処を、何十年も迫られてきました。360人の住民はユピックの文化と共同体を存続させるため、村全体を上流の安定した土地に移転させる必要があり、一方で、気候変動と闘うための適切な行動を怠ってきた国の政府とも向き合わねばなりません。この村が移転することで、彼らは21 世紀におけるアメリカ初の気候難民となります。これは気候変動による災害に直面して正義を求めている、ある村の真実の肖像です。
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映画制作者
映画監督による覚書
この物語はニュートックの人びとに導かれた
私たちがニュートックの話を語ることに着手したのは、それがアメリカで繰り広げられている最も重要ながら報道されていない話のひとつであると感じたからです。先住民族の共同体のなかで先住民族ではないジャーナリスト/映画制作者として働くことにあたっては、私たちは部外者であるという立場と、先住民の話を間違って語る西洋のジャーナリストの問題の多い歴史について痛感していました。ニュートックの共同体の人たちは、村を移転させるためにこの話をする必要はありませんでした。しかし、他のアメリカの地域の人たちは、それを聞く必要がありました。気候変動による大移動は、その影響をいま感じているかどうかにかかわらず、私たちのすぐ目の前に迫っています。可能なかぎり最善を尽くすことを目指して、私たちは何十人もの科学者、史学者、人類学者、哲学者、そして長老たちとのインタビューと、村で過ごした300日以上の時間から、ニュートックの歴史と問題の土台を据えました。この映画のプロデューサーであるマリー・ミードはユピックの研究者、そしてニュートックに先祖をもつ長老でもあり、映画制作の過程には欠かせない存在でした。彼女はユピック語のすべてのインタビューと翻訳を指揮し、文化的に正確かどうかを監督してくれました。彼女は私たちが思いつかなかった質問をしてくれました。さらに私たちが編成した編集文化顧問委員会は大多数が女性で、大多数が先住民族の研究者、史学者、ジャーナリスト、哲学者、村民から成り、私たちの視野に必然的に存在した盲点を突くために、この映画のラフカットの批評をしてくれました。最終的には、この映画は村との共同制作であるため、映画制作の段階のひとつひとつに共同体を含めるよう努めました。完成したこのドキュメンタリー映画には、ニュートックの音楽、ホームビデオ、詩、演劇、舞踊、言語が盛り込まれています。私たちの目標は、ニュートックの人びとにこの話の案内をしてもらうことでした。