ウールとワインについて
私が生まれたのはフローレンスで、そこは母方の家族が1199年以来所有していた田舎の地所だった。それはフローレンスを侵略軍から守るために1000年ごろに建てられた美しい中世の要塞で、いまも家族の農業の中核として機能し、そこで私たちはワインとオリーブオイルを作っている。
ワインの生産は母なる大地がその素材を作るため、とても自然で無理のないものだ。しかし今日、ワインメイキングには収穫期と栽培期において多種の化学薬品が使われることがある。私たちはなるべくオーガニックであるよう気を遣っている。化学薬品を使うのに比べてずっと多くの時間を葡萄畑で費やさねばならないため、大変なことなのだが、結果的として得られる製品はずっと健康的で汚れがなく、そして栽培された地域の伝統を本当に味わうことができる。そしてそれはつねに革新を探りながらも伝統に視野を合わせる私たちのウールの仕事と似ている。
年を重ねるにつれて独自の手法を開発し、そのうち選別、寸断、裁断だけでなく、自社で織物を作るようになっていた。20世紀の初期以来改善をつづけながら、私たちはかなりの量のリクレイムド・ウールを作ってきた。品質面での大きな改善は第二次世界大戦後に起こった。ヨーロッパでウールを生産していたほとんどの工場が戦争で被害を受け、私たちは生産施設をもっと改善させることを硬く決意した。こうして私たちが生産したリサイクル織物は、より技術的でファッショナブルなものになった。
今日、リクレイムド・ウールのような製品の労働賃金と労働力は、昔と比べると経済的ではない。私たちにとっていま、その動機は経済ではなく、この世界のエコロジーだ。着古した洋服や、第二希望の織物や縫製工場からの端切れを無駄にし、破棄したくないのだ。
私はパタゴニアのようなチームと仕事ができてうれしい。パタゴニアはつねにリクレイムドやリサイクル繊維で何ができるかについて、ことに幅広い観点をもちつづけている。私たちは家族経営の会社のため、作る製品には本当に気を遣う。だから私たち自身の哲学を分かち合う会社とともに仕事ができることは幸せなことなのだ。
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