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ペーサーシップの極意 – 『信越五岳トレイルランニングレース2011』を振りかえる

読み終えるまで8分  /  トレイルランニング

午前5:30、レースがスタート。ゴール制限時間は翌午前3:30 写真:パタゴニア日本支社

ペーサーシップの極意 – 『信越五岳トレイルランニングレース2011』を振りかえる

午前5:30、レースがスタート。ゴール制限時間は翌午前3:30 写真:パタゴニア日本支社

新潟県と長野県の県境に連なる信越五岳。その美しい山並みを結ぶ全長110キロのトレイルを舞台に、今年で3回目を迎える『信越五岳トレイルランニングレース2011』が9月24日~25日に開催されました。パタゴニアのトレイルランニング・アンバサダーである石川弘樹がプロデュースする本大会は、580名の選手とともに130名のペーサー(伴走者)がレースに出場。パタゴニアからは昨年度のクリッシー・モールにつづき、アンバサダーのジェン・シェルトンも来日し、日本支社の社員も選手やペーサーとしてレースに参加しました。今回はロジスティックス部の福田麻衣子とマーチャンダイジング部の宮川和人の2人に、選手とペーサーとしてそれぞれの視点からレースを振りかえってもらいます。

コンビを組むことになったいきさつ

<選手:福田麻衣子>
昨年につづいて2回目のエントリー。しばらくのあいだは、昨年の辛かったレース内容を思い出しては、「どうして今年もエントリーしたんだろう?」と悶々とした気持ちでいた。そんなある日、男性の同僚からペーサーの申し出。正直、動揺した。頭のなかで、去年のレースを思いかえす。110キロ、約22時間の走行に加え、普段の生活では口にしないエネルギー補給食ばかりを食べつづけることからくる内臓疲労で、胃は水さえも受け付けず、お腹を下し、エイド毎にトイレに立ち寄ったことが頭をよぎる。異性のペーサーにそんな姿をみせられるのか。それでも前回どれだけペーサー(昨年は女性だったけれど)に助けられ、力をもらったかを思い出し、彼の好意を素直に受け入れて、伴走をお願いすることにした。

<ペーサー:宮川和人>
今年5月終わりにはじめてトレイルランニングのレースを経験した。走るのに疲れて、次のレースのことを考えることなどとてもできなかった。走ることやレースに対して楽しいと思えていなかった、そんなときだった。走ることを決めたのは、どこか流行りではじめたトレイルランニングを、目標をもつことでもう一度やってみようと思ったからだ。そのときはそれがどれだけハードで、責任があることなのかなど想像もしていなかった。

ペーサーシップの極意 – 『信越五岳トレイルランニングレース2011』を振りかえる

大会に出場する仲間とともに練習を重ねる2人。山梨県南都留郡富士河口湖町三湖台。Photo: Maiko Fukuda

レースまでの日々

<選手:福田>
ペーサー経験のない彼。お互いの性格もよく知らない。最初は「大丈夫かな?」という不安でいっぱいだった。でも幸運にも、同じレースに参加する仲間がまわりにたくさんいた。だから時間が合えばどこかの山へ一緒に走りにいき、自分もペーサーも良い刺激を得られたし、練習を積むうちに、お互い「走力ついてきてるよね」と励ましあうこともできた。そしてペーサーとの連帯感が強まっていくなかで、いつの間に「どうしてエントリーしたんだろう」という気持ちはどこかに消え去り、レースの日を楽しみにしている自分に気付いた。

<ペーサー:宮川>
練習は本当に辛かった。どうして走っているのだろう?と何度考えたことか。信越に向けての練習を実際に開始したのは7月終わりで、暑い夏がはじまったころ。まずは埼玉の和名倉山や河口湖周辺を走った。それから群馬の神流、そして最後に戸隠。それぞれ20~30キロを走った。道に迷ったり、途中ビールを飲んでしまって走れなくなったり、下りを調子に乗って結局失速したり、泥だらけで走ったり、苦い経験もたくさんあったが、楽しいことの方が多かった。少しずつ走れるようになったし、とにかく走りおわったあとの風呂、食べて、飲んで…それがあったから走りつづけることができたのだと思う。

ペーサーシップの極意 – 『信越五岳トレイルランニングレース2011』を振りかえる

スタート直前。レースに出場するパタゴニアの社員たち。Photo: Hoshihiko Katagiri

レース当日

<ペーサー:宮川>
何が必要で、何を求められているのか?と考えはじめたときは、レースまであと2か月に迫っていた。まずは鈍っていた体を鍛えなおすことからはじめた。それは結果として選手の精神的な支えになることだと思う。あとは選手の肉体的な負担を軽くすること。選手とペーサーが会うのは66キロ地点、疲れていて当たり前、そこまで来るだけでも体に相当な負担がかかっているから、食料や水分など持てるだけの荷物は持って走るようにした。これが選手にとってどれぐらい助けになったかは分からないが、できる限りやったつもりだった。

<選手:福田>
走りはじめると緊張もほぐれ、大自然の美しいトレイルを楽しみながら、気持ちよく進むことができた。「できるだけ早くペーサーとの合流地点へ行こう」という気持ちがさらに後押しする。エイド毎にメールでペーサーに連絡。その度に励ましのメッセージを返してくれる。ペーサーと合流するのは66キロ地点だが、スタートからずっと一緒に走っている気分だった。

ペーサーシップの極意 – 『信越五岳トレイルランニングレース2011』を振りかえる

ウォーミングアップしながら福田の到着を待つ宮川。66キロ地点、笹ヶ峰高原乙見湖。写真:パタゴニア日本支社

合流地点では、ペーサーと仲間のペーサーが元気に迎えてくれた。2人の顔を見た途端、嬉しさと安堵感が込み上げる。てきぱきと2人が荷物や着替え、食事の準備をしてくれる。10時間走ってからのこういうサポートは何よりもありがたい。いちばんのパワーになるのだ。

リセット完了。ペーサーの「よし!行くよ!」という言葉にグッと気合が入る。いよいよ後半戦へ向けて出発。ここからは頼りになるペーサーが一緒だ。気分も新たに、少しでも明るいうちに距離を稼ぎたいという気持ちに、けれども疲れた脚がなかなかついていかない。前を走る彼はそんな自分を見て、濡れた木の根などで滑りやすい場所があれば「滑るよ。気をつけて」、上り坂でこちらの脚が本当にゆっくりしか前に進まなければ、「ハイ、がんばれ、がんばれ」と、何度も振りかえっては声をかけてくれた。

ペーサーのパックは2人分の荷物によって肩に食い込むほどの重さ。しかも寒さ対策のシェルは入れるスペースがないので、私の分だけを入れてくれていた(結局それは、薄着だった彼が着ることになったのだが)。そんな彼の心遣いに感謝しながらヘッドライトとハンドライトの明かりを頼りに、暗闇のトレイルを一歩一歩ただひたすらゴールを目指して進む。

朦朧とする意識のなか、残り3キロの看板が見えた。2人とも疲労困憊だったのは間違いないが、「走ろう」とどちらともなく力が入る。脚の痛みをこらえてラストラン。ゴールが見えたときには「よっしゃー!!」「きたー!!」2人のテンションが一気にあがる。嬉しい気持ちと同時に「ああ、終わってしまう」という寂しい気持ちも入り混じる。あれほど待ち望んだゴールなのに不思議だ。練習を含めてここまでたどってきた時間が、それだけ貴重だったのだと思う。ゴールでは仲間たちが温かく迎えてくれた。達成感と安堵感でしばし呆然。昨年より50分タイムを縮めてゴールすることができた。厳しくも楽しい「走る旅」はこうして幕を閉じた。

ペーサーシップの極意 – 『信越五岳トレイルランニングレース2011』を振りかえる

パタゴニアのアンバサダー、ジェン・シェルトンは12時間9分でゴール。女子の部で見事優勝、総合でも7位。写真:パタゴニア日本支社

レースを終えて

<ペーサー:宮川>
ゴールを一緒に迎えることができて本当に良かった。自分のレースよりも緊張して走っていたし、選手にはどうしてもゴールしてもらいたかったから、その瞬間がきたときは本当に嬉しかった。体はかなり疲れていたが、とても満たされた気分だった。レース翌日は表彰式で、選手たちと話し、彼らの表情を見ていたら、自分もそのなかに入ってみたいとふと思った。それを共有してみたいと思った。もちろん選手として完走を目指すにはさらにしんどい練習が必要だが、やってみる価値は十分あると思った。その瞬間、まさに僕はトレイルランニングにはまったんだと思う。

ペーサーをやっていちばん良かったのは、選手に自分がいたからゴールができたと言われたこと。これがペーサー冥利につきるというやつなのかは分からないが、素直に嬉しかった。参加を考えている人がいれば、是非参加してその雰囲気を味わうことをお勧めしたい。

<選手:福田>
レースを振りかえると、つねに気持ちが落ち着いて、リラックスできていたと思う。これはやはり一緒に練習を積むうちに、ペーサーに全幅の信頼を寄せられるようになっていたからだろう。怖くて本人には直接聞けていないが、ペーサーを引き受けたことを後悔したこともあったのではないかと思う。だけどレース後に「来年は自分が選手として出たい気持ちになった」という言葉を聞けてとても嬉しかった。心身ともに大きな支えとなって、ゴールまで一緒に駆け抜けてくれてありがとう。そして、心配していたとおり胃腸の具合が悪くなり、後半つねにお腹がグルグルいっている状態だったけど、聞こえないフリをしてくれてありがとう。

来年彼にペーサーを頼まれたらどうするかって?それは、もちろん引き受けます!

ペーサーシップの極意 – 『信越五岳トレイルランニングレース2011』を振りかえる

福田×宮川は20:55:54でゴール。おつかれさまでした!写真:パタゴニア日本支社

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