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パタゴニアのウェアを作る人たちとパートナーを組む

パタゴニア  /  読み終えるまで12分  /  フットプリント

ホン・ホー工場で働く労働者たち。パタゴニアのフェアトレード・サーティファイドのフリースはここで縫製されている。メキシコ、バリャドリッド Photo: Keri Oberly

私たちは1990 年代半ばには提携工場と密接に協力しながら、社会的責任のプログラムを開発しはじめ、2001 年には世界中で労働環境の改善のために取り組む非営利団体、公正労働協会の創設メンバーとなりました。

縫製工場に緊密な焦点を当てて10 年以上を費やした結果、2011 年に私たちはひとつの接点をサプライチェーンに戻し、パタゴニアの素材を製造する紡績工場での労働慣行を監査することにしました。2014 年にフェアトレードUSA のアパレル業プログラムへ参加したのちは、フェアトレードの原則にしたがって、パタゴニア社内の多くの部門にわたる手続きや業務を変えるために尽力し、同年秋に10 種類のフェアトレード製品を処女作としてリリースすることに成功しました。

さらに大きな一歩を踏み出した今年は、パタゴニアのフェアトレード製品は14 工場480 種類に増えました。この取り組みの成果は、現在約15,700 人の工場労働者が各フェアトレード製品の売上から直接恩恵を受け、私たちの提携工場はフェアトレード認証済みの製造を他のブランドにも拡大して提供できるようになっている、という形で報われています。

パタゴニアのウェアを作る人たちとパートナーを組む

パタゴニアのグローバル・スポーツウェア部門副社長のヘレナ・バーバー。 Photo: Tim Davis

フェアトレードはどのように影響を与えるか

パタゴニアのグローバル・スポーツウェア部門副社長であるヘレナ・バーバーは、フェアトレードUSA (FTUSA) とのパートナーシップとパタゴニアのフェアトレード製品数を着実に増加させるという戦略の、原動力となる人材のひとりです。この会社ぐるみの変革を導いた初期段階における、彼女の洞察について聞きました。

フェアトレードの製品ラインを作ろうと思ったきっかけは何ですか?

2014 年のはじめ、私はパタゴニアの製造チームとともにスリランカの複数の工場を訪問しました。その旅で、普段衣類を買うときはたいてい生地とフィットに基づいて選ぶものの、じつはウェアを製造している人たちこそ考慮すべき非常に大切な存在であること、そして彼らのことは往々にして忘れ去られていることを再認識しました。私自身を含む大半の人は、自分が着る衣類を製造している人たちに関してほとんど知りません。

この事実をどうにかしたいと思いながら帰ってくると、同僚からフェアトレードUSAがアパレル企業とのパートナーシップを考えているという情報を聞きました。これは労働者を力づけ、彼らの存在を世間に認知させる具体的な解決策になるかもしれないと期待しました。

FTUSAは長年コーヒーとチョコレートの取引に関与しており、プログラムもすでに実践していました。FTUSA は私が工場で見たこと、それをどう改善できるかを結びつけるものを提供してくれました。そしてこの機会の展望としては、パタゴニアの社会的責任のチームがすでに工場で実践してきた非常に優れた取り組みをスポーツウェア製品ラインで拡大できると考えました。

またFTUSAの非営利部門は数十年にわたって貧困との闘いに取り組み、その経験から労働者にやる気と刺激を与えるものが何かを理解していました。FTUSA のプログラムが労働者を力づける最大の要素のひとつは、ブランドが労働者の基金に賞与を支払い、労働者たち自身が民主的な過程を経てお金の使い道を決定する点です。労働者を財務意思決定の中心に置くことにより、真のパートナーシップが生まれます。

FTUSA の協力のおかげですべてがあっという間にはじまり、ほんの数か月でプログラムは整いました。そして2014 年6 月に、10 種類のフェアトレード製品を市場に出すことができました。

その後どうなりましたか?

いったいどうなるのか、はっきりとはわかりませんでしたが、はじめて間もないころから、このプログラムの利点は労働者に直接賞与を支払うこと以上の発展があると感じていました。そしてその予感どおり、労働者と管理者の積極的な対話がはじまり、賞与の使い道に関して労働者がじかに集団決定に参加するようになりました。

それでも、はっきりとした道が示されていたわけではありませんでした。なぜならパタゴニアは複数の工場や地域でフェアトレードを拡大する最初のアパレル企業だったからです。工場と労働者の両者にとって利益になると思えた概念だったので、工場経営者たちが顕にしたいくつかの懸念は予期しないものでした。けれども彼らの質問を受けた私たちはフェアトレード・プログラムをさらに吟味し、実際、着手しようとしているこの取り組みに対する自信を深めることにつながりました。

「企業が私たちへの支払いを増やし、それに合わせて私たちが労働者の賃金を上げればいいだけのことでしょう」と言う工場経営者もいます。しかしフェアトレードUSA のような第三者によるプログラムの監視は必須です。なぜなら「パタゴニアは正しい行いを実践しています」と口で言うだけでは、顧客のやみくもな信頼を得ることは期待できないからです。しかしこのような当初の難局も労働者と管理者にさらに多くの対話をはじめさせるきっかけとなり、それ自体もある種の成功だと言えます。

労働者はフェアトレード賞与の使い道をどのように決めましたか?

プログラムに真の生命が吹き込まれたと私が実感したのは、そのときでした。労働者の各家庭に設置された浄水器から年末の現金支給まで、賞与はさまざまな方法で利用されましたが、とくに驚いたのはその使い道がつねに労働者の大多数の利点だと思えるものとは限らないということです。

たとえば、スリランカの労働者たちは投票によって託児所の設置を選びました。それは工場で働く母親や父親には役立ちますが、労働者全員に直接の利点がある訳ではありません。しかし、労働者たちは団結した形で親たちが仕事を維持できるプログラムの価値を見出し、そして最終的には工場で働く全員の利点になると理解したのです。賞与が使われる方法にはプログラムの参加者の個性が表われます。その「解」は決して型にはまったものでなく、じつのところそれが非常に素晴らしいことなのです。

フェアトレードのより大きな影響力は何ですか?

やはり、パタゴニアのウェアを作っている人たちを認知するという点です。ブランドには大きな力がありますが、工場の労働者にはそれがありません。安全な労働環境で働くことができ、職場で発言権をもつことは多大な自信につながります。また、工場労働者の大半は女性であり、そのひとりひとりが財政力を感じる権利を有します。フェアトレードは社会的責任への忠誠を果たし、向上させるためにパタゴニアが実践する複数のプログラムのひとつです。

フェアトレードについて何も知らない人にメッセージをいただけますか?

言うまでもなく、衣類が何らかの素材でできていることはわかっていますが、それを作っているのは人の手でもあるという事実を意識することも重要です。パタゴニアのウェアを作る人たちは認知されるべきであり、フェアトレードはその目的を達成する手段のひとつです。労働者に賞与を支払うだけのものではなく、労働者の生活にプラスの影響を与えると同時に工場やブランドにも影響し、さらに顧客にとっては知識を得たうえで購入する製品を選ぶことができます。これは自分が着る衣類、そしてそれを作る人たちに対する考え方について、ともに協力しあって変化をもたらす旅なのです。

パタゴニアのウェアを作る人たちとパートナーを組む

フェアトレードUSAの社長兼CEOのポール・ライス(右)。 Photo: Paul Rice Collection

より公平なグローバル経済を生み出す

カリフォルニア州オークランドの倉庫を改装したオフィスの一室で1998 年にフェアトレードUSA を立ち上げて以来、ポール・ライスはモノが生産、取引、そして消費される方法を変えるために脈動する世界的な運動の構築に携わってきました。ここではフェアトレードUSA の発足当時と今後の目標についての彼の話を聞きました。

なぜフェアトレード製品の必要性があるのでしょうか?

まず、一歩下がって大局を見据えなければなりません。グローバル化はすでにはじまっており、この20 〜30 年の貿易障壁の引き下げにより、貿易とそれにともなう経済成長が劇的に増加しました。ところが残念なことに、グローバル化の利点は世界の最貧困層にはもたらされていません。文字どおり何十億もの人たちが取り残されています。

そうした現状に対して、フェアトレードはどのように取り組んでいるのですか?

労働条件の改善と環境保護を目指して、厳しい社会的、環境的、経済的基準を構築する。それに加えて、非常に困難な課題に対する持続可能な解決策を生み出すために企業と消費者の力を利用する、市場基盤の方法を私たちは取っています。

フェアトレードを立ち上げたきっかけは何ですか?

国際開発に興味があったため農民と一緒に働こうと、大学を卒業してすぐ1983 年に片道航空券を買ってニカラグアへ行きました。貧困の緩和を目的とする国際支援から資金を得ているいくつかの善意のプロジェクトで活動したのですが、すべてトップダウン型の義援主導のプログラムで、結局どれも失敗しました。失敗の原因は、これらのプログラムが問題解決に挑む農民自身の手腕を見出すものではなかったからだと、私は考えるようになりました。農民が求めていたのは慈善ではなく、たんに自分たちの過酷な労働に対する適切な報酬だったのです。

「これだ!」とひらめいた瞬間は何でしたか?

慈善活動に幻滅を感じて、あきらめてアメリカに帰ろうとしていたのですが、1990 年ごろに「フェアトレーダーズ」と呼ばれるヨーロッパのちょっと変わった人たちのことを耳にしました。彼らは私たちがコーヒー農家を組織化してフェアトレーダーズに直売すれば高額を支払う、という申し出をしていました。これは援助ではなく、取引に基づくじつにシンプルかつ強力な考えであり、また優れた製品への正当な代価でした。私は24 人の勇敢な農家との契約にこぎつけました。そしてコーヒーの価格は1 ポンド(450グラム)あたり10 セントから1ドル26 セントに上がりました。

すぐに3,000以上の農家が契約を結び、それが私にとって大きな転機となりました。市場を勢力にして状況を好転できると気づいたのです。本質的には、資本主義の新たなモデルです。突如として農家では1日2食から3食の食事ができるようになり、学校も建設されました。さらに農民の希望と誇りと自信が高まり、私はそれらを「目に見えない配当」と呼んでいます。

フェアトレードがどのように機能するかを説明してください。

フェアトレード運動の最も重要な側面のひとつは、それが社会的な監査と遵守だけに留まらないという点です。そのやり方が機能しないことはすでに明らかで、工場を訪れる社外監査官が確実に状況を把握することは不可能です。監査は一定の役割は果たすものの決して十分ではなく、問題は解決されないまま残ってしまいます。

だから私たちは誰もが自分の権利を把握し、基準の強化に関与できるよう労働者と管理者に順守のトレーニングを提供しています。その他に、その努力とフェアトレード工場となることに対して、何らかの報償が必要です。そこで出番となるのが賞与です。賞与は深刻な問題への対処法であると同時に、責任ある製造に対する見返りとなるのです。

フェアトレード・サーティファイド製品が売れるたびに、企業は労働者が管理する口座に直接賞与を支払います。労働者は自分たちの必要性に基づいて賞与の使用方法を決定します。投票により、奨学金や地域のプロジェクト資金、または医療費、あるいは現金のボーナスとして受け取ることも可能です。

アパレル業界にフェアトレードの認証を提供しはじめたのはいつですか?

アパレル業界特有の認証モデルの開発に数年を費やし、2010 年に正式に開始しました。工場のプログラムは農業に従事する私たちのルーツとは異なりますが、基本的な前提は変わりません。フェアトレード製品の購入により、生活や地域を向上させようとする世界中の人びとに手を差し伸べることができます。

企業への取り組みで何を学びましたか?

私は使命によって動かされるタイプですが、アメリカの実業界にも似た考えのリーダーが大勢いることに気づきました。フェアトレードは往々にして企業の幹部の価値観に訴えますが、残念ながらなかには躊躇してしまう人もいます。それで私は製品が製造される場所に企業のCEOを連れていき、そこで労働者の生活の変化は企業とその顧客次第であることを見てもらいます。この体験により、いつも形勢が一変します。

この運動全体のなかで顧客の役割は何でしょうか?

このすべては、チョコレートであろうとフリースのセーターであろうと、顧客が製品を購入する、ということに依存しています。私たちは本質的に顧客に私たちの同盟者となることを頼んでいるからです。顧客は私たちの変革理論の中心にいます。フェアトレードの賞与がコミュニティを力づけるのと同じように、購買行動もまた力を与えます。誠実な消費者が変革に影響を与える力をもつのは、とくに政府が特定の領域で彼らの利益にかなっていないと消費者が感じるときです。

今後この運動はどう展開するのでしょうか?

グローバル化の新たなモデルが出現し、急速に進展しています。フェアトレードは収益性と持続可能性の摩擦が解消できることを証明しています。正しい行いを実践しながら企業の収益性を高めることができれば、私たちは最強の勢力に結びついたことになるでしょう。

このストーリーの初出はパタゴニアの2017年Octoberカタログです。

https://youtu.be/distHxMr4uc

全コレクションはpatagonia.jp/fairtradeclothingでご覧ください。

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