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その森は守られている

角田 東一  /  2023年3月23日  /  読み終えるまで6分  /  アクティビズム

横浜南部の最大の緑地、瀬上沢。宅地開発計画に対する緑地保全活動は18年に及び、ついにその開発事業に終止符が打たれた。

春の訪れとともに、多様な樹種が芽吹き、花を咲かせる。瀬上沢の春は賑やかだ。写真:takenouchi kenichi

2015年第五次国土利用計画決定、2020年カーボンニュートラル宣言、2021年熱海土砂災害発生、2022年盛土規制法の成立など、開発事業の継続と推進に歯止めをかける出来事がつづいていた。そして、2023年2月28日、東急建設は、上郷開発事業計画の廃止届を横浜市に提出し、上郷猿田地区の開発事業は中止となった。

開発中止まで足掛け18年、瀬上沢全面保全を掲げて活動してきたが、ここまで漕ぎ続けられたのは、たくさんの市民の皆さまに支えられてきたものと感謝している。また、長きに渡り進めてきた宅地開発計画の廃止を決定した東急建設と横浜市にも敬意を表したい。

その森は守られている

事業計画廃止が公告された現地の看板。2023年3月1日撮影 写真:NPO 法人 ホタルのふるさと瀬上沢基金

これまでの歩み

瀬上沢は、三浦半島から葉山、逗子、鎌倉と連続する緑地帯で、横浜南部に残された自然豊かな森だ。上郷開発計画が申請された1990年以来33年間、この森は宅地化の危機にさらされてきた。上郷開発計画は開発区域32万㎡の内、約22万㎡の農地樹林地を宅地化する大規模な開発事業で、1990年に東急建設の申請ではじまった。この開発事業はバブル崩壊とともに頓挫し、その17年後、2007年12月に2度目の申請が行われた。

<認定NPO法人ホタルのふるさと瀬上沢基金の活動>は、2回目の上郷開発計画説明会が行われた、2006年10月にさかのぼる。最初は、小さくバラバラに立ち上がった住民グループだったが、「瀬上沢の全面保全を求める署名」を集めるために1つのグループとして活動をはじめた。署名は、6か月で9万筆余が集まり、2007年10月に横浜市長と市議会に提出した。

市長への署名簿提出のときに「署名だけでは弱い、トラスト運動があれば、、、」という助言を副市長から受け、トラスト団体の設立に取り組みはじめた。そして、「地球温暖化防止・瀬上沢緑地全面保全・コンパクトシティー・ナショナルトラスト基金募集」を掲げ、2009年7月に設立総会を開催し、10月には神奈川県の承認を得て<認定NPO法人ホタルのふるさと瀬上沢基金>を設立した。

NPO法人の設立を迅速に取り組むことができた背景には、パタゴニアが主催する「草の根活動家のためのツール会議」(2008年)で得たスキルや経験がそのまま成果としてあらわれ、その後もパタゴニア日本支社とは、フィールドワークやイベント開催、意見書提出、公聴会参加、広報活動など、多岐にわたる行動をともにした。

その森は守られている

瀬上沢では、6月初旬からゲンジボタルとヘイケボタルが見られる。写真:takenouchi kenichi

NPO法人の設立当初は、温暖化防止策で緑地保全を、人口減少下で宅地不要を、環境アセスメントの傍聴、都市計画審議会の傍聴、自治会や市民と協力して街宣活動、ガイドツアーやクリーンアップ作戦などのフィールドワーク、記者やマスコミへの情報提供、議員との面談、開発計画地を超党派の議員を案内するなど、環境保全と社会問題の2つの側面から瀬上沢の全面保全を訴えてきた。

それら行動の成果が結果としてあらわれたのが2008年9月、横浜市は緑地破壊が多すぎるとして開発計画を却下。しかし東急建設は、再々度の開発計画申請を示唆したため、申請に備えてガイドツアーやクリーンアップなど市民への啓発活動を継続した。予想通り、6年後の2014年1月に規模を半分に縮小して、3回目の開発計画を申請した。東急建設と横浜市の行政手続きに対し、開発計画説明会すべてに意見陳述と意見書を提出し、環境アセスメントをすべて傍聴、3回の公聴会すべてに意見公述、都市計画審議会すべてを傍聴、同時に署名グループが11万余筆の署名提出し陳情書提出するなど、大きな課題に対して継続的にはたらきかけた。

その森は守られている

瀬上沢の魅力は四季を通じて体験することができる。四季折々の変化に合わせ瀬上沢のガイドツアーを開催してきた。写真:takenouchi kenichi

<横浜のみどりを未来につなぐ実行委員会>の発足

2017年、横浜市在住の若手グループは、住民投票で横浜の緑を守ろうと<横浜のみどりを未来につなぐ実行委員会>を結成し、住民投票条例作成を求める署名活動を行った。有権者の1/50という既定の6万筆には及ばなかったものの、2か月で約4万筆の署名を集め、マスコミを通じて社会に大きなインパクトを与えた。

しかし、横浜市は2018年1月都市計画審議会で上郷開発計画と調整区域の市街化編入を承認し、3月には上郷開発計画を市の都市計画として決定した。これ以降、市民の関心も薄れ、協力してくれた議員も離れていきマスコミも掲載頻度が激減し、全面保全は無理だろうという声が多く聞こえるようになっていった。そのような逆境になっても、まだ開発事業許可は出ていない。社会的環境変化は我らに向いている。瀬上沢の緑地全面保全は必然として、活動を継続した。

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2017年、<横浜のみどりを未来につなぐ実行委員会>が立ち上がり若者を中心に署名活動が行われ機運は高まった。写真:takenouchi kenichi

その後、横浜市に対しては、30年前の産業廃棄物大量に埋め立ての撤去や湧水帯の安全な湿地埋立て方法の確立、舞岡上郷線の偏土圧による滑動崩壊の安全性確認や取付け道路の風害懸念などを、市民として投げかけ、十分な安全対策ができない限り開発を許可しないよう繰り返し陳情書を提出した。東急建設は、2019年7月開発事業申請を行い横浜市との事前協議を開始し、現地看板に工事着工2021年4月と表示した。しかし、事前協議は何度も延期され、着工まで1年半の予定が約4年と大幅に遅れた末に、2023年2月28日上郷開発事業計画廃止届を横浜市に提出し、上郷開発計画は中止となった。

その森は守られている

冷え込みの厳しい12月、ホームとなる港南台駅前での街宣活動。瀬上沢を守りたいという気持ちでつながった仲間たち。皆で集まると自然と笑顔がほころぶ。写真:takenouchi kenichi

いま、ひとまず、瀬上沢の森は守られている

上郷開発計画跡地が森として残る保証はない。しばらく、その行方を見守らなければならない。そして、私たちの目標であった美しい里山や田んぼの復活、子どもたちがのびのびと遊べる自然環境、生物多様性の涵養、歴史文化遺産を学べる散策路など、夢の実現へ向けて、事業者や横浜市と会話をしていく必要がある。
緑地として保全するために市民からこの決断への賛同と応援の声をより多く届けてください。未来に向けてともに歩みましょう。

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将来を担う子どもたち。写真:takenouchi kenichi

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