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北極圏野生生物保護区を守る戦いは始まったばかり

パタゴニア  /  読み終えるまで6分  /  アクティビズム

北極圏保護区内のフラフラ・リバーを渡るボーキュバイン・カリブー群のメンバーたち。グループを形成して異なる時期に移動するカリブーは、妊娠した雌牛、前年に生まれた子牛、不妊の雌牛たちがまず海岸平野へと北上し、そのあとに雄牛と残りの若牛たちがつづく。 Photo: Florian Shulz

——ローズ・マーカリオ パタゴニア社長兼CEO

2017年12月20日、連邦議会は北極圏野生生物保護区での石油掘削リースの認可を組み込んだ税制改革法案を通過させました。このかけがえのない美しい景観は、石油探査と掘削が必然的にもたらす荒廃にさらされることになります。悲しいことに、この問題に対する実質的な国民的論議は喚起されず、政治的目的の手段として、国民の目を盗んで通過されました。そして大半の国民は、半世紀前に共和党のドワイト・アイゼンハワー大統領によって保護区に指定されたこの手つかずの景観が、深刻な破壊の危機に瀕している事実すら知りません。北極圏野生生物保護区はおそらく最も野性的かつ損なわれていないアメリカの生態系であり、ホッキョクグマ、カリブー、ジャコウウシ、数百万の渡り鳥の生息地です。またグウィッチン族にとっての聖地であり、彼らはここを「生命がはじまる神聖な場所」と呼びます。北極圏野生生物保護区を保護することは、公有地を守る数十年にわたる保護運動の頂点、基本的人権を守る戦い、化石燃料が引き起こす気候変動の影響から地球を守る取り組みなど、数々の意義を象徴します。

これらの理由から、私たちはこれまで以上に北極圏野生生物保護区を守る戦いに断固として挑み、今後の長期戦に備えてパートナーや仲間とともに立ち上がります。以下の声明は私たちと協力関係にあるグループを代弁しています。これは戦いのはじめでも終わりでもありません。現在私たちは岐路に立っています。必死で抵抗しなければ、最も貴重な場所が絶体絶命の窮地に置かれるという現実に、私たち全員が目覚めるときです。

北極圏野生生物保護区を守る戦いは始まったばかり

第14回グウィッチン・ギャザリングで伝統的な踊りの準備を整えるグウィッチン族の若者たち。アラスカ州アークティック・ビレッジ。Photo: Kahlil Hudson

バーナデット・デミエンティエフ、グウィッチン・ステアリング・コミッティー事務局長

「私たちは防戦の新たなレベルに達しました。この戦いははじまったばかりなのです。奮起して、『生命がはじまる神聖な場所』である北極圏野生生物保護区を守り抜くのです。止むことなく、投げ出すことなく、これまで通り、私たちの生き方を守りつづけるのです。私たちのアイデンティティに交渉の余地はなく、私たちの人権は譲渡不可能です」

北極圏野生生物保護区を守る戦いは始まったばかり

グウィッチン族の創造物語では、北極圏の人びとはかつてカリブーだったと伝えられる。人とカリブーとに分かれたとき、カリブーは人の心をほんの少し、人はカリブーの心をほんの少し残し、つねに互いを守る誓いを立てた。Photo: Florian Schulz

プリンセス・ダアズライ・ジョンソン、グウィッチンの著者、オーガナイザー、俳優

「北極圏野生生物保護区を石油掘削に解放するまったく不評な税制改革法案の通過は、先住民族の人権への攻撃であり、また人間が地球上に残された手つかずの生態系の扱い方に関する、危険な先例を作ります。私たちはいま皆で立ち上がり、母なる地球が与えてくれる生命維持の要素であるきれいな水、空気、土地を守らなければなりません。グウィッチン族に何千年にもわたり生きる糧を与えつづけてくれたこの土地と先祖の声を心に留めて、私たちはじまったばかりのこの戦いに挑みます」

北極圏野生生物保護区を守る戦いは始まったばかり

ジャコウウシは更新世の時代からここに生存し、カリブーと同じく1万年を生き延びた唯一の有蹄動物である。雪の上下に生える植物を探して北極圏野生生物保護区のツンドラを自由に歩きまわる。Photo: Florian Schulz

アンディ・モデロウ、アラスカ・ウィルダネス・リーグ、アラスカ・ディレクター

「連邦議会のトランプ大統領の同調者は、北極圏野生生物保護区を最高入札者に売る法令に投票して、過去を侮辱しました。もし彼らが成功し、石油開発がこのアメリカ最後の野生の場所を破壊すれば、歴史は間違いなく彼らを厳しく裁くでしょう。この場所を守る私たちの使命がさらに困難極まりなくなったいま、私たちは力を倍増して戦いつづけます。まさしくこの野生地が現在と未来の世代のために保護されることが確実になるまで、戦いは終わりません」

北極圏野生生物保護区を守る戦いは始まったばかり

陸地よりもずっと長い時間を海で過ごし、餌と生息地を海に頼るホッキョクグマは、海洋哺乳類とみなされる唯一のクマである。アザラシを探しながらボーフォート海で浮氷塊をうまく通り抜けるホッキョクグマ。Photo: Florian Schulz

モリー・フォスター、写真家、『Hiking Alaska』著者

「去年の8月、北極圏野生生物保護区で2週間のバックパッキングとパックラフティングの旅をしました。立ち寄ったプルドー湾に広がる石油開発地では、油田採掘機の陰に数羽の鳥を目にしました。そこはがらんとして汚く、感情というものがありませんでした。プルドー湾のその光景と、バックパッキングをしてきた保護区の手つかずの野生の景観の対照を頭から消すことができません。保護区にはいたるところに生命の存在を示す証拠があり、毎日数十ものカリブーの角やクマの糞や、何種類もの鳥を見ながら歩きました。携帯ラフトを漕いでいるとオオカミが目の前を泳いで渡り、川辺では雌のヘラジカが子供と餌を食んでいました。生き物の形跡はあるものの人の気配はほとんどありません。私はジャーナリスト/写真家としてアラスカのバックカントリーをくまなく訪れてきましたが、北極圏野生生物保護区はなかでも屈指の自然のままの景観です。私が幸運にもすることのできた貴重な経験を未来の世代もできるよう、この場所のために戦います」

北極圏野生生物保護区を守る戦いは始まったばかり

北極圏野生生物保護区はバックパッキング、キャンピング、クライミング、フィッシングなど、無類の原生地域を体験させてくれる。保護区内には電話はなく、携帯電話もつながらず、キャンプ場も案内所もない。遠隔地であり、また過酷な状況がありうるため自立自助が不可欠であると同時に、真の冒険という体験が保証されている。Photo: Florian Schulz

アリー・ハービー、〈シエラクラブ〉Our Wild Americaアラスカ・キャンペーン代表 

「水曜日は私にとって暗い1日でした。共和党が北極圏野生生物保護区での石油掘削を盛り込んだ恐るべき税制改革法案を通過させ、ここアラスカの空には太陽がほとんど顔を出しませんでした。しかし冬至の今日、私はこれまで以上に固い反撃の意欲をもって目覚めました。そして、それが私だけではないこともわかっています。グウィッチン族が率いるアラスカの人びとの運動は、この税制改革法案によって助長された野放しの強欲と人権に対する攻撃から保護区を守ることを約束します。私たちは石油産業が矛先を向ける先々で立ちはだかり、グウィッチン族の食料保全と、アメリカに残る最後の野生地と、気候を脅かす石油掘削に抵抗します。この戦いははじまったばかりです」

素晴らしい写真を提供してくれたフロリアン・シュルツに感謝します。フロリアンと北極圏を守るフロリアンの戦いについては2016年のインタビューをご覧ください

グィッチン族と、そして忠実に命をもたらしてくれる野生動物の存続のために何十年も戦いつづけている2人の女性のストーリーを綴った短編フィルム『ザ・レフュージ』の監督カリール・ハドソンに感謝します。

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