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資源が足りないなら、資源を創ればいいじゃないか:「資源製造工場」のヒミツ

パタゴニア  /  2012年2月23日  /  読み終えるまで6分  /  アクティビズム

廃サーフボード、廃ウェットスーツの再資源化。パタゴニア サーフ千葉。写真:アミタ株式会社

資源が足りないなら、資源を創ればいいじゃないか:「資源製造工場」のヒミツ

廃サーフボード、廃ウェットスーツの再資源化。パタゴニア サーフ千葉。写真:アミタ株式会社

編集前記:パタゴニアの「コモンスレッズ・イニシアティブ」のゴールである「製品を埋め立て地で眠らせない」ことを実践すべく、日本支社独自の「FCDゼロエミッション」プログラムではアミタ株式会社と協力し、使用できなくなったサーフボードや使い古して着用できなくなったウェットスーツを回収して、セメント原燃料へと100%リサイクルしています。PVC(ポリ塩化ビニル)を含まないパタゴニアのウェットスーツFCDサーフボードは、火も水も薬品も使わずに「廃棄物ゼロ」のリサイクルが可能です。現在、パタゴニア サーフ千葉パタゴニア サーフ東京にて回収をしていますが、今後は回収ストアも順次増やしていく予定です。お問い合わせはパタゴニア サーフ千葉、パタゴニア サーフ東京まで。

年間、日本でどのくらいの産業廃棄物(企業活動にともなって生まれる廃棄物)が出ているかご存知ですか?平成20年度に排出された産業廃棄物は約4億366万トン。そのうち約54%は再生利用されています。資源枯渇や環境問題が世界の共有課題として認識されるいま、産業廃棄物の排出元である企業ではできる限り廃棄物の量を押さえ、どうしても発生してしまう廃棄物も積極的にリサイクルしたい、と考えるようになっています。

廃棄物を原料とする資源製造工場
全国に5か所の再資源化工場をもつアミタ株式会社では、リサイクルを希望する企業から引き受けたさまざまな産業廃棄物を100%再資源化(リサイクル)し、新たな資源としてユーザー企業に提供しています。廃棄物を処理するのではなく、原料として新たな製品を作る製造工場のため、名前は「アミタ循環資源製造所」、廃棄物は「発生品」と呼ばれています。パタゴニアの廃サーフボード/廃ウェットスーツも、2011年からこの工場で100%リサイクルされ、セメント製造時の原料や燃料に生まれ変わっています。

これらの工場で原料として用いられ、リサイクルされる産業廃棄物は年間約18万トン。その内容は廃ゴム、廃プラスチック、下水汚泥、塗料、廃化粧品、廃飲料など千差万別、多種多様です。さらに、同じ工場からの同じ廃棄物でも、量や性状は日々微妙に変化し、年に1回しか発生しないものもあれば、毎月発生するものもあります。しかしリサイクル後の製品を資源として利用するユーザー側は、当然、質量ともに安定した供給を求めています。ではどうやって不安定な廃棄物を100%使用して、製品であるリサイクル資源を安定的に製造しているのでしょうか。

資源が足りないなら、資源を創ればいいじゃないか:「資源製造工場」のヒミツ

左上:廃棄物1、右上:廃棄物2、左下:セメント原料系、右下:液体代替燃料。写真:アミタ株式会社

独自の「調合」技術で廃棄物を全量リサイクル
一般的にゴミは分別して同じ種類ごとに集めることでリサイクルできると思われています。しかし集めても、そのままでは資源として使えない廃棄物もたくさんあります。例えば、忌避物質と呼ばれる入っていては困る成分が多く含まれているものや、逆に求められている成分が少ないものなどです。廃棄物の構成要素はものによってさまざまであり、資源として良いところもあれば悪いところもあります。アミタの循環資源製造所には、このようにまさに一長一短な原料候補が毎日大量に届きます。

製造所では、これらの廃棄物をひとつひとつ元素レベルで成分分析し、良いところと悪いところを細かく調べます。そして廃棄物Aの長所が廃棄物Bの短所を補い、廃棄物Bの長所が廃棄物Cの短所を補うといったように、全体として求められる成分になるようブレンドの配合を決め、複数の廃棄物を混ぜるのです。最も単純な例でいうと、水分が多すぎて使えない廃棄物とぱさぱさな粉状の廃棄物を混ぜることで、ちょうど良い含水率になります。同じように塩素濃度や熱量など、求められる成分項目すべてが合格値になるような配合を行います。単体では問題なくとも、ある成分と混ぜることで発熱したり、有毒物が発生する廃棄物もあるので、分析時にはそのような成分の有無も詳細に調べられます。

資源が足りないなら、資源を創ればいいじゃないか:「資源製造工場」のヒミツ

分析風景。写真:アミタ株式会社

もちろん、その日入った廃棄物がつねにすぐに使えるわけではなく、原料置き場には出番を待つ廃棄物がストックされていています。数日以内には製造所職員によって最適な組み合わせが決定され、混合機に入ります。こうして無事リサイクルされ、ユーザー企業に出荷されると、その工程が発生元企業に報告されて、企業は再資源化完了を確認できる仕組みになっています。

火も水も化学薬品も使わない製造所
このようにアミタの工場では原料となる廃棄物の成分を上手く活用するため、製品製造工程で火も水も化学薬品も使いません。工場内の設備はとてもシンプルで、分析装置と混合機、液体物用の混合タンク、遠心分離機など、装置も既製のものばかりです。アミタのノウハウは目に見える機械や設備の凄さではなく、質も量も不安定な廃棄物を分析し、最適な配合で混ぜる「調合技術」にあります。

資源が足りないなら、資源を創ればいいじゃないか:「資源製造工場」のヒミツ

姫路循環資源製造所。写真:アミタ株式会社

資源は使う時代から創る時代へ
世の中にはリサイクルされていない廃棄物がまだまだたくさん存在します。できる技術がすでにあるのにメーカー側にその情報が届いていないケース、成分的にどうしても再利用できない処理困難物、もちろんコスト面で断念されるものも多くあります。資源製造企業としていちばん喜びを感じるのは、これまでリサイクルされていなかった発生品に資源として新たな価値を吹き込むことができた瞬間です。アミタでは再資源化できなかったものも、国内外300か所以上のパートナー企業のネットワークを活用して、現時点で最適と思われるリサイクル方法を検討します。さらに過去に不可能と判断された廃棄物情報も、自社データベースに蓄積し、技術開発や新たなユーザー企業開拓で可能性が生まれた場合には、発生企業に改めて提案しています。パタゴニアの廃サーフボード/廃ウェットスーツも、昨年再資源化が実現しました。資源を使う時代から資源を創る時代へ、世界は変わってきています。

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