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スティーブン・ホーリー  /  2024年6月12日  /  読み終えるまで10分  /  環境

すべてのダムは汚い。それを改善しようとしても、事態を悪化させるだけ。

デシューツ・リバー、クルックド・リバー、メトリウス・リバーの合流地点に位置するレイク・ビリー・チヌークは、1964年のラウンド・ビュート・ダム建設によって造られた。この湖は、水の停滞、過剰な栄養素を含む農業排水、水温の上昇により、有毒で危険な藻類ブルームを発生させる。オレゴン州 Photo : Michael Peterson

夏のあいだずっと、レイク・ビリー・チヌークは、まるでセント・パトリックス・デーのシカゴ・リバーのような緑色をしている。アイルランド発祥を祝してシカゴで毎年催されるにぎやかな「ウィンディ・シティ」とは異なり、オレゴン中央部のデシューツ・リバーのラウンド・ビュート・ダムに堰き止められた大きな貯水湖の生々しい緑色は、同州最大の電力会社がクリーンなエネルギー源だと主張するダムの背後に溜まった、濁った不幸の象徴だ。

1955年、当時アメリカで過熱していたダム建設がピークに達したとき、オレゴンはその勢いを抑えようとした。デシューツ・リバーにダムを造るという連邦の許可に異議を唱え、同州は米国連邦動力委員会を告訴したのだ。このダムはのちに建設された3つのダムの最初の1つで、デシューツ・ベイスンのサーモンとスティールヘッドの行き来を遮断するものだった。オレゴン州はこの法廷闘争の初回に勝利したが、電力関係者たちはその判決に対して上訴を申し立て、この訴訟は米国最高裁判所に持ち込まれた。つづく判決では、1964年のラウンド・ビュート・ダム建設や、遡上する魚の個体数を維持するための努力の放棄によってこの砂漠地帯の水域の大部分をサーモンの棲めない環境に変えてしまったことに対して、有罪が宣告された。ポートランド・ジェネラル・エレクトリック(PGE)は、現在カスケード山脈の発電所から人口密度の高いウィラメット・バレーへと電力を送っている。

PGEとウォーム・スプリングス居留地の先住民族連合は、これら3つのダムを共同所有し、それが複雑な状況を生み出している。レイク・ビリー・チヌークには3本の川が流れ込む。クルックド・リバーとミドル・デシューツ・リバーは上流からの農業排水で汚れているが、メトリウス・リバーは川が本来そうであるように清浄で冷たい。まずは汚れている方のクルックドとミドル・デシューツの2本の川について説明しよう。貯水湖は水文学的ヒートシンク(放熱板)である。この熱に肥料を加えれば、水中温室となる。リンや窒素を豊富に含む農業廃水は、水生環境に取り込まれると、緑を育てる魔法を発揮しつづける。その結果、藻類ブルームや他の光合成植物侵入種が繁殖し、そのなかには有毒なものもある。ダムによって堰き止められた、温かく汚染された水は、大量のメタンを吐き出して気候危機をさらに加速させる、クローバーのような緑色をした毒シチューとなる。

さて、今度はきれいな川について語ろう。ダム建設後の50年間、約160キロメートルを自由に流れ、デシューツ・リバーの救いとなっているのがメトリウス。3本のなかで最も清らかな川だ。活断層、火山活動、その後の巨大な地下水の動きという奇跡的な組み合わせによって、この川は氷のように冷たく、澄んで生き生きと流れている。トラウトを釣るフライではなく、オリーブかライムを浮かべて飲みたくなるほどだ。そしてレイク・ビリー・チヌークの腐った毒カクテルのすぐ上流で、デシューツの本流へと流れ込む。

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源流からレイク・ビリー・チヌークまで47キロメートルを流れるメトリウス・リバーは、湧き水が豊富で透明度が高い。1988年に国立原生景観河川に指定されたデシューツのこの支流は、釣るのが難しいことで有名なレインボートラウトをはじめ、ブルトラウト、コカニーサーモン、マウンテン・ホワイトフィッシュの故郷でもある。Photo : Mike Putnam

メトリウスの恵みには、それを裏づける科学がある。冷たい水は凝縮するため、温かい水よりも重いのだ。ダムがあるにもかかわらず、デシューツ・リバー下流は50年ものあいだ、全米屈指のトラウトフィッシングの渓流として数えられていた。年間の平均水温10度を保つメトリウスの流れは、貯水湖の底に沈み、ダムの利水放流バルブがこの純粋な良水を下流へと送り込む。2010年以前のデシューツを知る人なら、誰でも思い出すことができるだろう。玉砂利が敷き詰められた河床の上を時速8キロのボートで漂うと、まるで空を飛んでいるような感覚に陥るほど澄み切っていた。釣りはとても素晴らしく、ここでそれを表現するにはどんな言葉をもってしても足りない。

2005年、PGEはデシューツ・ダムを50年間運営しつづけるライセンスを取得した。長いあいだ放置されてきた魚の遡上経路を提供するという要件を満たすため、同社は技術的な修正と巧妙なマーケティングの組み合わせにあらゆる手段を講じた。PGEはウェブサイト上で、調査結果に矛盾があるにもかかわらず、水力発電は「排出フリー」であると主張している。PGEが所有しているものも含め、貯水湖は必ずメタンという形で温室効果ガスを排出することを強く示唆する科学的研究が増えている。メタンは二酸化炭素よりも破壊力が大きく、大気中に熱を閉じ込める度合いは28倍も高い。米国環境保護庁(EPA)によると、藻類ブルームが繁殖して水質が悪い貯水湖では、メタンの発生量がさらに多くなる傾向があるという。レイク・ビリー・チヌークでは何年も前から有害な藻類が発生している。PGEと水力発電業界は何十年ものあいだ、ダムは経済的に成功が見込めるエネルギー源であるという偽りのシナリオを推し進めてきた。しかしそうではない。

“「祖父や曽祖父が見て以来、そのような姿を見たことがなかった川が、自由になったのを目の当たりにしたのです。開かれた門から、馬の群れが自由に走り出すのを見るような感覚でした」”

——ヤカマ族長老 デイヴィス・ワシーンズ

本当に魚の話、サーモンとスティールヘッドのための解決策を考えよう。PGEとウォーム・スプリングス居留地の先住民族連合は、約1億1千万ドルを投じて、「選択取水タワー」と呼ばれるルーブ・ゴールドバーグ的に複雑怪奇な装置を開発した。その利害関係者への売り文句は、「あたかもダムが存在しないかのように」PGEがデシューツを管理できるようになると宣伝されたこのタワーは、1年のうち8か月間、貯水湖の表面からデシューツの下流約160キロメートルにある、かつては自由に流れていた清浄な水流に、病的な緑色の水を送り込む。その結果、ダムはまだまぎれもなくそこに存在しているのだということを思い知らせることになる。

貯水湖の底のきれいな冷たい水から、温かく汚れた上層の水への変換は、魚道の修復の名のもとに行われたが、これは惨憺たる失敗に終わった。タワー計画は14年間の操業で、かろうじて2,000匹のスティールヘッド、チヌークサーモン、ソックアイサーモンをダム上流に通過させた。この数をタワーの費用で割ってみれば、これらの魚は地球上で最も高価なサケ・マス類に違いない。

タワーに費やされたすべての金銭と技術的専門技術の割には、このダム上流でのサケ・マス類の野生復帰はいまだにトラップ&ホール・プログラムである。魚はホースでタンクローリーに吸い込まれ、ダムを迂回して川に戻される。魚の遡上を助けるものがトラックであるなど、滑稽としか言いようがない。カナダヅルを湿地からツンドラへ送迎するのに、ジャンボジェット旅客機に乗せたりはしない。

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サーモンの自撮り。エルワ・リバーのダム撤去プロジェクトが完了してから10年、ここに写っているチヌークの成魚と稚魚のように、スティールヘッドやサーモンが歴史的な産卵場所を取り戻すことに成功している。Photo : John McMillan

2023年、このプロジェクトで遡上した春季のチヌークはわずか19匹。さらに悪いことに、オレゴン州立大学とオレゴン州魚類野生生物局の最近の共同研究によれば、川の下流を汚染している水が、春に遡上するチヌークにとって致命的なセラトノバ・シャスタと呼ばれる寄生虫を多面的に増やしているという。サーモンを救うためのタワーが、サーモンを殺しているのだ。

デシューツ・リバー・アライアンスのコミュニケーション・マネージャーである私に希望を与えてくれるのは、このようなプロジェクトが失敗するたびに、魚に対する緩和策は魚と川の修復策と違うということを思い知らされることだ。電力会社の存在理由は魚を救うことではない。概して、彼らはそれを苦手としている。

「緩和」という言葉には、ある考え方が含まれている。それは「何かの酷さ、深刻さ、痛みを軽減する行為」である。それは、私たちや私たちが愛するものを破壊する行為に対して、おとなしく寛容であることを意味する。川と魚に関わる問題において、私たちは「すべてのダムは汚れている」ことを認識する必要がある。そしてさらに重要なのは、その知識に基づいて行動を起こすこと。そして、いかなる類の汚染に対して「緩和」する一方で、その原因を取り除くことを何もしないのは、一種の狂気である。魚の最高の孵化場とは、健全な河川システムのことだ。

もうひとつ私に希望を与えてくれるのは、ダム撤去という河川修復の極致のような、河川域の生態系だけでなくそれ以上のものを修復してきた水域プロジェクトが増えつつあることだ。背筋がゾクゾクするようなクラマス・リバーの4つのダム撤去にともない、約800メートルにわたって再構築される河道。ダム撤去後のエルワ・リバーでのサーモンの初収穫。こうしたプロジェクトは、何百とある他の似たようなプロジェクトと同様、何十年もの努力の結集の賜物である。そうしたプロジェクトは、たとえ致命的な危機に直面しても、自然には回復力があることへの信頼を取り戻した。そして同じくらい重要なこととして、古くから慣れ親しんできた、人間同士が切に必要としている生命力に満ちた信頼をも回復させたのである。

私にとって、この春シーズンのテーマのひとつはつぐないである。四半世紀にわたり、水にまつわるあらゆることを書いてきたなかで、私が目の当たりにした歓喜のイメージは、ホワイトウォーターの急流でも大物の魚でもなく、「顔」だった。

メトリウスと地形的に近いのは、私の自宅から数キロメートルはなれたホワイト・サーモン・リバーである。2011年、コンディット・ダムが撤去され、それを祝う群衆のなかに、ヤカマ族の長老であり当時コロンビア部族間警察署長だったデイヴィス・ワシーンズがいた。ダムの基部の爆破された穴からホワイト・サーモンが力強く飛び出してきた瞬間、ある写真家が彼の写真を撮った。その写真には、両手に頭を埋めたワシーンズ氏の姿が捉えられていた。「私は涙が出ました」とワシーンズ氏はそのときのことを回想しながら電話で語った。「祖父や曽祖父が見て以来、そのような姿を見たことがなかった川が、自由になったのを目の当たりにしたのです。開かれた門から、馬の群れが自由に走り出すのを見るような感覚でした」

ホワイト・サーモンが待ち望んだ川岸の木々が増え、その木々に昆虫が棲み、川に棲む魚の数が順調に増えていく様子を眺めながら、私はこの写真とワシーンズ氏のことを思い出す。私の故郷であるデシューツの水域が、彼をあれほどまで感動させたのと同じように、ダムのない野生の状態でついに自由になったとき、私もまた間違いなく喜びとつぐないの涙を流すだろう。そして、窮地に陥った川を愛するすべての人に、そのような喜びの涙を流してほしいと願っている。

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