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マイクロファイバー汚染に終止符を打つ

ヴィンセント・スタンリー  /  2023年8月30日  /  読み終えるまで6分  /  フットプリント

 

韓国原産の海草「ジャルピ」は、韓国の工業化、都市開発、漁業拡大によって危機にさらされている。海草は魚類資源、藻場、水質を保全し、気象危機とたたかう上で有効だ。Photo: Nicole Gormley

2015年にパタゴニアがマイクロファイバー汚染の拡大に自らも加担していると初めて知って以来、大気や水域に合成繊維のくずが拡散することに終止符を打つ、あるいは大幅に削減するために、パートナーを積極的に探してきた。

マイクロプラスチック問題については、ずいぶん前からよく知っていた。分解されたペットボトルやヨーグルト容器、漁網の破片が川に流れこみ、やがて海洋へ到達し、海鳥や野生生物に食べられ、汚染の渦が広がることだ。マイクロプラスチック汚染は、もはや海洋に限ったことではない。世界自然保護基金によると、人類が1週間に摂取する空気中や水中のプラスチックごみは、クレジットカード1枚分と言われている。そう、プラスチックごみの終着点は海鳥の胃にとどまらず、人間の血液や母乳にまでも達しているのだ。

マイクロファイバー汚染に終止符を打つ

マイクロファイバーの顕微鏡写真。Photos: Bren School of Environmental Science and Management at UCSB

ポリエステル、ナイロン、スパンデックス、アクリルなどの合成繊維に由来するマイクロファイバーの粒子は、長さ5mm弱で、ほとんど目に見えないが毎年20万~50万トンの繊維が衣類から剥がれ落ち、海底へと向かう。この繊維は年間の海洋マイクロプラスチック汚染の16~35%を占めている。これほど細かな粒子に分解された、これほど大きな問題を一掃することは現時点では不可能で、アパレル・ブランドには、マイクロファイバーの拡散を発生源から防ぐ責任が課せられている。

この8年間、パタゴニアは自社製のポリエステルやナイロンの衣料品に起因するマイクロファイバーの排出を削減するために、様々な取り組みを行ってきた。抜け毛を減らすために、製品技術や繊維構造を改良し、より高品質でより少ない衣類のワードローブを提唱してきた。そして、洗濯の頻度を減らし、冷水を使用して弱水流で洗うことを奨励した。プラスチック・ラボによると、冷水・弱水流で洗濯するだけで、繊維の排出を70%削減できるという。(一般的に、カスタマーである私たちは着用することよりも洗濯や乾燥によって衣類を劣化させている)そこでパタゴニアは、化繊衣類の洗濯時に繊維が洗濯排水に流れ出るのを抑えるために、グッピーフレンド・ウォッシング・バッグを販売し、さらに、洗濯機から毎日排出されるマイクロファイバーを、市内のろ過システムを使って回収する取り組みを、<Ocean Wise>やバンクーバー市と協力して取り組んだ。

<Ocean Wise>はこの8年間、パタゴニアにとって主要なパートナーであり、アドバイザーであったが、その他にも2つの大学による重要な協力があった。カリフォルニア大学サンタバーバラ校のブレン環境科学・経営スクールからは、洗濯機タイプ別の繊維排出量について、重要な情報が提供された。またノースカロライナ州立大学は、排出の程度を評価する標準化された試験プロトコルの開発に協力してくれた。

この3年間、私たちはサムスン電子と密接に(そして生産的に)協力し、家庭用洗濯機に大幅な改善を導入することを支援してきた。私たちのこの関係性は、偶然にしてはじまった。韓国パタゴニアの環境部門の責任者であるショーン・キムとサムスンのサステナビリティ責任者のスー・ジン・キムからの要請を受け、私はサムスンのエグゼクティブ・グループと最も深刻と考える環境への影響についてオンラインで対談した。ちょうど、家電メーカーがマイクロファイバー汚染対策に関心を持ってくれないことを嘆いていたところだったので、私は今話している相手が誰であるかを思い出し、厚かましくも口走ってしまった。「そうだ。あなた方は洗濯機を作っていますよね」と。

直後の反応は淡々としたものだったが、彼らのエンジニアは既に私の先を見据えていたと思う。それからの数週間、サムスンのエンジニアたちは次々に質問を寄せてきた。そこで彼らを紹介し、まもなく3つの組織のチームは、試作品をテストする段階になった。サムスンは「エコバブル」と呼ばれる、洗剤を水に溶けやすくし、泡立ちをよくする技術を既に開発していた。つまり、洗濯水の温度を上げる必要なく、機械的摩擦を最小限に抑えて、優れた洗浄効果を得ることができる。マイクロファイバーの排出を減らすために、同様の技術を応用したのだ。サムスンのコミットメントとそのスピード感に感銘を受けた。2023年1月、コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)で、サムスンは排出量を54%削減する「Less Microfiber Cycle」(マイクロファイバー減量コース)付きの新しい洗濯機を発表した。

サムスンはこのたび、既存のあらゆるドラム式洗濯機に簡単に装着できる「Less Microfiber Filter」(マイクロファイバー減量フィルター)を市場に投入した*。OceanWiseはこのフィルターがマイクロファイバーの排出を98%削減することを検証で確認した。このフィルターは、2023年5月に韓国で発売され、8月にはヨーロッパで、9月には北米で発売される。

マイクロファイバー汚染に終止符を打つ

サムスンの新しいフィルターは、サムスン・ブランドのほとんどの洗濯機に適合し、マイクロプラスチックの排出を98%削減できる。Photo: Samsung

サムスンの人々の技術とサステナビリティの両面における質の高い努力には、どれほど感謝してもしきれない。会長から熟練エンジニア、才能ある若手社員にいたるまで、全社を挙げて、この進歩を成し遂げようと力を貸してくれた。家電業界の世界的大手と地球を唯一の株主と謳う企業のコラボレーションは、めずらしい組み合わせかもしれないが、未来のためにこうした協力がより多く求められている。

競合他社は現在、サムスンに続こうと、マイクロファイバーの排出を削減する洗濯機の発売を計画している。次の重要な一歩は、衣類乾燥機による大気中へのマイクロファイバー排出を減らすことだ。

サムスンや他社による斬新な家電技術は大きな発展であるが、決してマイクロファイバー汚染を抑制する唯一の方法ではない。より高品質な衣類をより少なく購入することが、自身のマイクロファイバーの影響を抑える上で、最も「効率的」な方法だ。よりよいエンジニアリングや建設が探求され続けているように、マイクロファイバーが水中や、私たちの唯一の生息域である大気中に、どこで、いつ、どのように排出されるかについての詳しい研究も続いている。

*サムスン製洗濯機での使用を推奨(25″モデルを除く)。サムスン以外の洗濯機でフィルターを使用する場合、サムスンによる保証はフィルターのみに適用。

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