コンテンツに移動

地球が私たちの唯一の株主

事業の繁栄を大きく抑えてでも地球の繁栄を望むのならば、私たち全員が今手にしているリソースでできることを行う必要があります。これが私たちにできることです。

イヴォンの手紙を読む

5,000円(税込)以上のご注文で送料無料

5,000円(税込)以上のご注文で送料無料:送料は、全国一律¥550(税込)です。5,000円(税込)以上ご注文の場合は、弊社が負担し、お客様には送料無料でお届けします。

詳しく見る

ツリーライン:地元で育った

リア ・ エヴァンス  /  2019年2月13日  /  読み終えるまで4分  /  スノー, アクティビズム

ブリティッシュ・コロンビア州レベルストークから近い、マウント・マクファーソンの滑降ライン「ウーム」の底で、スギの「母樹」に歩み寄るリア・エヴァンス。森林生態学者のスザンヌ・シマードによると、母樹は周辺の森に栄養分を送り、木々のネットワーク全体の回復力を向上させるという。Photo: Garrett Grove

木々は私たちの最長寿の仲間です。彼らは時間の流れを記録し、根を通してメッセージを発信し、日陰や避難所や積雪を支えるなどの手段を通じて、地域社会を形成しながらある種の安全と、自由を与えてくれます。『Treeline(ツリーライン)』はそんな木々についての新しい映画で、日本、ブリティッシュ・コロンビア、ネバダの3つの素晴らしい森で過ごす、山を愛する人びとを紹介します。

4つからなるストーリーの2つ目のエッセイをお楽しみください。

私はブリティッシュ・コロンビア州ロスランドで、ツリースキーをしながら育ちました。まだずっと若かったころ、タホから来ていた女の子と一緒にスキーをしていて、森で彼女を見失ったことがありました。彼女と合流できたとき、「地元では、森のなかでなんてあまりスキーしないから」と言われた私は、スキーってこういうものじゃないの?と思いました。私にとっては森は安全な場所です。

世界中の素晴らしい土地でスキーをするという幸運に恵まれている私ですが、地元のレベルストーク周辺の山々(モナシーズやセルカーク)には新たに私をつなぎとめ、地に根を下ろさせる何か特別なものを感じます。同じ場所に行きつづけたら飽きると思う人もいるでしょう。でも地元の森を旅していると、森の隅々まで満ちている活力に目が覚めるようです。苔は垂れ下がり、巨大なスギの幹は木漏れ日に銀色に照らされ、まるで内側から輝いているよう。新しい発見が毎日あります。

ツリーライン:地元で育った

スギの老齢樹のあいだをターンしながら巧みなポーズを決めるエヴァンス。樹齢120 〜250 年というこれらの老木のなかでスキーをすることは、積雪の標高が上がりつづけるブリティッシュ・コロンビアでは稀になっている。
Photo: Garrett Grove

昨冬レベルストークでは4か月ほど雪が降りつづき、そのおかげで普段はさほど積雪のない、スギが群生する低地でも、スキーができました。スギの老齢樹は低地に生えているため、通常は山に登るときに通り過ぎるだけ。雪が低地に降ったとしても、木々の周辺の雪はすぐに解けてしまうか、あるいは枝葉が茂っているので、スキーができるほど降り積もることはありません。

ツリーライン:地元で育った

ブリティッシュ・コロンビア州レベルストークから近い内陸部の温帯雨林で、過去に伐採された区域を通過しながら、切り株と新しい木々の間を滑るエヴァンス。スギの老齢樹の多くはチェーンソーの攻撃に耐えた傷跡を残し、生き延びるものは少ない。Photo: Garrett Grove

でも昨年の冬は特別でした。この賢い老齢樹たちのあいだを縫うように、シールを貼ったスキーで登りながら、そして滑り降りながら、私たちは彼らと対話することができました。彼らはスキーのリズムに美しいパターンを添えてくれます。老齢樹のまわりには何も育たないので、流れるようなダンスのごとくスキーができる空間があります。力強い演説のなかの巧みな間のように、これらのスギの側を滑ると内省する瞬間が与えられ、そしてまた現実に呼び戻されます。ターンの合間に木々を発見する時間があるのです。

木を植えたら、それが育つ様子を観察したいと思うでしょう。そしてその木と一体感をもちたいと。老齢樹は私が植えたわけではありませんが、彼らとは家族であると感じます。彼らは私自身の歴史、そして私がどこから来たのかを思い出させてくれる存在なのです。ブリティッシュ・コロンビアで暮らすスキーヤーの生活では、山のなかで多くの時間を過ごし、木々とつながることができますが、だからといって自動的に彼らを理解することができるわけではありません。木々は人間の保護を必要としていると思います。彼らの存在を真から理解したい人を。木々と一緒にいると、故郷に帰ったように感じる人を。

このストーリーの初出はパタゴニアの2018年November Journalです。

よく使われる検索語