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危機にひんしているのは人類の未来

パタゴニア  /  読み終えるまで7分  /  アクティビズム, フットプリント

故郷である地球を救うためにビジネスを営むパタゴニアのオーナー/創業者イヴォン・シュイナード。Photo: Jimmy Chin

「火星のことは忘れるんだ」とイヴォン・シュイナードが言ったのはつい先日のこと。もしかしたら彼はもっと強い言い方をしたかもしれません。気候危機についての会話にときおり出てくる軽薄なアイデア、つまり人間の生息地としての地球を消費し尽くしたときは皆で赤い惑星に移住すればいいということに、パタゴニアの創業者が答えたものです。シュイナードとパタゴニアはできれば火星には行きたくなく、これまで以上に私たちの故郷である惑星を救う決意を新たにしています。パタゴニアの2018年環境的・社会的イニシアチブ(今夏出版予定)に掲載される最近のインタビューで、シュイナードは私たち全員が頼る土壌、大気、水を保護し、これまで私たちが直面した最大の脅威に立ち向かうためにパタゴニアが行なっていることについて語ってくれました。

ブラッド・ウィーナー:昨年、草の根環境保護団体に支給したパタゴニアの助成金総額が1億ドルに達したとき、それを公表するのは気が進まないように思えましたが、パタゴニアは数字を自慢する会社ではないからでしょうか。

イヴォン・シュイナード:いや、気が進まないなんてことはまったくない。むしろ誇りに思うべき。ひとつの会社に何ができるかを実証するものだからね。しかも株主が配当を得たあとで収益の一部をどう寄付するのかを決めるのではなく、私たちの場合はビジネスを行いながら助成金を支給している。

独立した慈善基金を設立する企業が多いなか、パタゴニアは活動家に直接助成金を支給してきましたが、企業の成長にともないそれを変えようと思ったことはありますか?

私たちはつねにいちばん金が必要なのは活動家だと考えてきた。科学を支援する財政援助はたくさんあるが、行動主義のない科学は死んでいるも同然。一方、活動家は過激な行動をするかもしれないと恐れられ、資金集めに苦労している。とくに企業は活動家への資金援助はリスクをともなって割りが合わないと考える。だから私たちは「科学は誰かにまかせよう。〈ザ・ネイチャー・コンサーバンシー〉が取り組むような大規模な環境保護プロジェクトは他の誰かにまかせよう」と考えた。

変わったことといえば、『ダムネーション』のような映画を作りはじめたこと。ダム建設反対に取り組む国際的な組織に資金援助することもできたが、自分たちで映画を作ったほうが、良いことができるという気がした。そして思ったとおりだった。『ダムネーション』はよくある行き詰まりの環境映画にはならず、本当にあちこちで広く上映された。

これまでずっと言ってきたが、私たちはそれぞれ独自のやり方で、手持ちの資源に準じて、悪に立ち向かうために何かをしなければならない。パタゴニアには多くの資源があり、大半の環境保護団体よりも優れたマーケティングの専門知識ももっている。それにもかかわらず、私たちは懸念する問題のマーケティングのために他人に金を渡していた。それよりも自分たちの専門知識をもっと使えばいいじゃないかと考えて、映画制作に乗り出した。いまや映画制作会社だよ。

私は自分たちが地球を壊しているという事実に、正面から立ち向かいたい。80年後には、地球は住めない場所になってしまうかもしれない。少なくとも人間と野生動物は。それでつい先日ミッション・ステートメントをこう変えた。「私たちは、故郷である地球を救うためにビジネスを営む」

危機にひんしているのは人類の未来

Photo: Jim Richardson

「私たちは、故郷である地球を救うためにビジネスを営む」のですね。

そう、いたってシンプルだ。私は80歳にもなって、どうしていまだに会社に来るんだろうと思っている。それはもっとウェアを売るためでも、金を稼ぐためでもない。私たちは地球を壊している、そして何かをしなければならないほど切迫した事態に陥っているからだ。会社で新しい社員と話をすると、彼らがなぜパタゴニアに来たかがわかる。彼らもまた地球を救うことに身を投じているからだ。

同じ緊急性を感じる社員を雇うほかに、パタゴニアはこの問題への取り組みをどのように深めていくのですか?

私たちにできる最善策は環境再生型農業の支援だという結論に達した。地球温暖化の問題を間違いなく解決できる方法はそれ以外思いつかない。もちろん、化石燃料の使用を止めようと試みることはできる。まあ頑張ってくれ。エクソンをはじめとする大手のエネルギー企業を相手に闘っても多額の金を無駄にするだけ。一方、農業による炭素の貯留について学んでいることには期待がもてる。さて有機農業では、有害化学物質を取り除くことはできるが、それだけ。ところが環境再生型農業では、栄養価の高いおいしい食物を栽培できる。そのうえ表土を育て、炭素を蓄える。つまり一石二鳥どころか、一石四鳥。これはまったく前向きな解決策で、いちばん期待できる。

危機にひんしているのは人類の未来

環境再生型農業はインドの綿畑で土壌を作り、炭素を蓄えることを実践している。Photo: Tim Davis

環境再生型農業は温室効果を無効にするのに十分な炭素を間違いなく土壌中に蓄積できるのですか?

そう、カリフォルニア大学とフランス政府の研究によるとそれは可能らしい。広範囲で環境再生型農業に移行すれば、私たちが出す全炭素量以上の炭素を蓄えることができると。パタゴニアではそれを誰かにまかせるのではなく、みずから実行する具体的な計画をもち、先頭に立って環境再生型農業を推進している。

パタゴニアはみずからの行動を正す2つの進歩的な基準を導入しました。ひとつは2011年にBコーポレーションになったことですが、それは有意義なことでしたか?

そうだね。期待したほど広まらなかったけど、いい枠組みになっている。他企業からも役立ったという話を聞いている。Bコーポレーションを検討しはじめた当初は、その援助をしてくれるところはあまりなかったが、いまではいくつかのいい機関があるようだ。

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グレイト・プレーンズで気候変動と闘うワイルド・アイデアのバッファロー。Photo: Jill O’Brien

パタゴニアがサプライチェーンの社会的/環境的問題の査定に利用しているヒグ・インデックスはどうですか?

このインデックスは物事を順調に進めるのに役立つが、大企業が利用していないのが残念だ。2007年にこれを検討しはじめたときは誰もが「持続可能性」を話題にしていたが、いまではその言葉も実際は無意味になってしまった。

気候変動危機の深刻さを考えると、その方向を転じるためには政府を含むあらゆる機関を取り込む必要がでてきますが、パタゴニアは地球を救うために政府とより協働していく考えですか?

いまの政府は当てにならない。現政権は悪で、地球を破壊して金儲けがしたいだけ。彼らを変えることはできないだろう。無駄骨を折るだけだ。私は殉教者にはあまり向いていない。とにかく彼らを追い出すしかない。

企業として私たちは政治的方策にもっと金を費やすようになるだろう。しかし私としては地球温暖化の症状に浪費するのではなく、原因に対してできることに金を使いたい。私たちはまた自分たちの行いも正し、2025年までにパタゴニアが排出するすべての二酸化炭素を削除/貯留/さもなければオフセットできるよう、必要な変更をすでに導入しはじめている。これにはパタゴニアのオフィスや直営店だけでなく、素材工場や最終製品の組み立て工場、天然繊維を栽培する農場からのすべての排出をも含む。いずれは排出するよりも多くの二酸化炭素を大気から除去したい。

助成金の支給をはじめた当初、私たちが地球に害を及ぼしていることは承知していた。だが地球を完全に破壊していることには気づいていなかった。しかもものすごい速さで。私がいちばん伝えたいのは、いまや全員が総力を挙げなければならない事態にあるということ。危機に瀕しているのは数種の絶滅危惧種や大型哺乳類だけではなく、人類の未来だということ。そしてそれは私たちの寿命のうちに起こる。いまや状況はまったく異なるんだ。だからすぐに行動を開始しよう。

本投稿はインタビューの簡約版です。全文は今夏出版予定の2018年環境的・社会的イニシアチブでお読みいただけます。

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