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森と文明

ジョン・パーリン  /  2023年4月11日  /  読み終えるまで7分  /  アクティビズム, カルチャー

私たちはこのたび、人と木の歴史を 深く追究したジョン・パーリンの 『A Forest Journey』を再版します。 その本が最初に出版されるまでは、 叙事詩のような道のりでした。

『A Forest Journey』は、「人間は木材を求めつづけるのに、木々に対しては何の気遣いもしない」という厳しい現実を露にする。命を分け与えてくれる木々のあらゆる恩恵にもかかわらず、私たちは1万2千年以上にもわたって彼らを切り倒し、焼き払ってきた。地球にかつて存在した木々の半数以上は伐採され、二人挽きノコギリによって切り株となり果てたこのベイスギも、その例外ではない。カナダ、ブリティッシュ・コロンビア州コルテス島 写真:David Ellingsen

1983年、新しい本の執筆に取り組むある教授に協力するため、カリフォルニア大学サンタバーバラ校の古典学科に雇われた私は、これで自分は作家として知らなかった、財政的に円滑な未来に突入するのだと期待しました。この教授と私はかつて太陽光による古代の家庭暖房に関する草分け的な論文を共著し、アメリカ考古学研究所の年次総会で発表したことがありました。また私の最初の著書——同じく太陽光建築に関する本——のために資料を研究していたときにも、私はあるひとつのテーマに気づきました。それは、家庭暖房を太陽エネルギーに切り替えることは、いつの時代も、木の不足とともに生じたということです。木は少なくとも青銅器時代から19世紀以降まで、ほぼあらゆる社会において主要燃料であると同時に建築材でした。複数の言語による過去の声を通じて、私は木の豊富さと欠乏がどのように文明における文化、人口動態、外交問題、経済、政治、技術を形成したかを学びました。そしてこのような話は、書き残さなければならないと思いました。

新しい職について3〜4か月の私が図書館で忙しく過ごすあいだ、共同研究者である教授はつねにオフィスに留まり、大型の学術書にどっぷり浸かっているように見えました。ある日私が半開きのドアからオフィスに入って教授に近づくと、なんと彼は研究に必要な文献を調べているのではなく、巨大な本のページに挟んだ漫画を読んでいました。その後まもなく、私は仕事もお金も働く場所も、そして眠る場所すらもない状況に陥りました。ある友人が研究をつづけられるようにと好意で裏庭を提供してくれて、そこに寝泊まりするようになりました。

金銭面はさらに悪化し、私はホームレスの人にゴミ箱のあさり方を教わりました。それでも私は、漫画発覚事件で一時的に行き詰まった研究をつづけました。図書館で木材、木、オーク、マツ、モミを意味するアラビア語、ギリシャ語、ヘブライ語、ラテン語、メソポタミア語を学び、それらを古典語の辞書でどうやって調べるか、木材や木々に関する記述を古代の原本上でどうやって探すかを学びました。同情の念を抱いたセム語の教授は、私が取り組んでいた楔形文字を翻訳してくれました。かつてカリフォルニア大学サンタバーバラ校で参考図書司書をしていたリーゼロッテ・ファハルドも、計り知れないほどの助けとなってくれました。リーゼロッテはヒトラー支配下のドイツから亡命したのち、最終的にカリフォルニアにたどり着き、やむない流浪のあいだに複数の言語を習得した人物です。私たちは親交を深め、リーゼロッテはフランス語、オランダ語、ドイツ語の学術用語の翻訳を手伝ってくれ、私は彼女のために夕食を作りました。

雨の日は寝泊りしていた庭の角材に乗せたキャンパーシェルの張り出しの下に避難しました。また、私の研究の重要性を確信していたもうひとりの天使のような女性は、洗濯室に机とコンピューターを設置してくれ、そのおかげで昼夜ワープロで原稿を書くことができました。

一方、そこまで確信をもってくれなかったのは出版社で、私の手元には原稿却下の通知が積み重なりました。そんなある日、友人の家で太陽エネルギーに関するワールドウォッチ研究所の論文を見つけました。開いてみると、そこには私の著書『A Golden Thread』からの引用が最初にありました。説明が必要かと思いますが、ワールドウォッチは20世紀後期、世界屈指の影響力をもつ環境シンクタンクで、創設者兼代表のレスター・ブラウンはこの組織同様に著名な人物でした。そこで一瞬、捨て鉢で大胆な考えが頭をよぎりました。翌朝レスター・ブラウンに電話をして、私の新著『A Forest Journey』を出版するスポンサーになってもらおうと考えたのです。成功が手近にある気がしました。しかし私の電話を受けた秘書は、「レスター・ブラウンは多忙な方です」と言いました。「折り返しの電話には2〜3か月かかるかもしれません」すべての希望は消え、私は絶望に陥りました。

するとその5分後に、電話が鳴りました。機械的に受話器を取ると、電話の向こうにいたのはレスター・ブラウンでした。最終的に私の本は、ブラウンの出版社であったW.W.Nortonから出版されることになりました。

森と文明

木と争うのではなく、愛を育むのだ。好奇心をもった人間の手が触れる、樹齢800年のベイマツ。写真:JeremyKoreski

『A Forest Journey』のソフトカバーがめでたく出版されたのち、私は5年間執筆活動を休止して子育てに専念しました。はっきり言って、乳幼児の世話と仕事は両立できません。幼稚園に入ったころ、我が子は近くのカリフォルニア大学サンタバーバラ校にある放課後のプログラムにも参加するようになりました。プログラムの一環として、大学は授業が終わる時間に合わせてオレンジ色のバスで子どもたちを迎えに行き、午後6時までそこで過ごすことを許可していました。子どもたちはキャンパス内で自由に遊び、海洋生物学のラボにある触れ合いタンクでウニやウミウシやナマコやカニなど、太平洋岸の潮溜りに生息するさまざまな生物を手にしたり、礁湖の近くで海鳥を眺めたり、ジムでロッククライミングの壁を懸垂下降したりなど、好きなことを存分に体験させてもらえました。5時45分になると私は仕事を終えて子どもを迎えに行き、そこからバス停まで歩いて、私たちが住む町への高速バスに乗りました。

バスがフリーウェイを飛ばすあいだ、小さな男の子があご髭を生やした体格のいいお父さんとの会話に夢中になっている姿は人目を引きました。ある日、いつもだいたい同じバスに乗っていたひとりの教授が、私たちの立っているすぐ横の席に座りました。彼は私たちに気づき、やがて太陽電池とその可能性について話を交わすことになりました。また別の日には、なぜ私が太陽エネルギーに精通しているのかと聞いてきました。そこで私はこの課題に関する研究をして2冊の本を書いたことを伝え、BBC(英国放送協会)による『A Forest Journey』の書評のコピーがバックパックに入っていたことを思い出したので、それを教授に手渡しました。3週間後、彼は私を昼食に誘いました。そしてその席で『A Forest Journey』を買って読んだことを告げ、「私がこれまでの生涯で読んだ本のトップ5に入る」と言ってくれました。その後、私と息子は教授の家に定期的に招待されるほど彼と親しくなりました。

その2年後、この教授はノーベル物理学賞を受賞しました。それから私は大学の科学系学科のために気候変動に関する会議を催すよう教授から依頼を受けました。その翌年には彼の推薦で大学に雇用され、光と太陽電池の関係についての科学的な思想の進化に関する映画のための調査および脚本の執筆を依頼されました。最終的には、カール・セーガンのテレビ番組『Cosmos』のプロデューサーのひとりが参加し、モンティ・パイソンで有名なジョン・クリーズがその映画のナレーションを担いました。ロサンゼルスのダウンタウンで育った少年の行く末でこうしたことが起こったのは、すべて彼が木についての本を書いたからです。

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