世界と海がつながる日、ワールドオーシャンズデイ
武田 真由美 (NPO法人 ワールドオーシャンズデイ代表理事)
青い惑星と呼ばれる地球。その青さの源は地表の約70%を占める海です。はるか遠い昔この海から生命が生まれ、そして多くの生きものが進化をつづけていまのような多様性に満ちた地球が誕生しました。よくいわれることですが海は生命の源であり、多くの生命を育んでいます。そして世界中の海はすべてがつながっていて、人は昔から海の道を利用して人や物や情報といったさまざまなものを運んできました。しかしいま、海には環境汚染や海洋資源の減少といった問題が持ちあがっています。
世界中の海がつながっているから世界中の人たちで海のことを考えよう−−1992年ブラジルのリオデジャネイロで開かれた「環境と開発に関する国連会議」で、6月8日を「ワールドオーシャンズデイ」とすることが提案されました。現在では世界70か国、750か所以上の国と地域で、企業・NPO・団体などが中心となり、海をテーマにしたイベントが開催されています。たとえばカナダのアルバータ州の小学校では、子どもたちが学校全体で海の生物のオブシェを創ったり、またブリティッシュコロンビア州のバンクーバー水族館では地域が一体となって、広大な海の大自然を感じるフェスティバルが開催されています。オーストラリアでは世界の海はつながっていることを伝えるため、海のフィルムフェスティバルが開催されて好評を博しています。また2010年には香港で持続可能なシーフードの消費についてのシンポジウムやフカヒレをテーマにした映画の上映会などが開かれ、世界中からアクティビストたちが集まりました。この香港でのムーブメントはワールドオーシャンズデイ以降もつづき、世界の50%以上の取引が行われているフカヒレ貿易に警鐘を鳴らしています。
リオで開催された地球サミットから20年を迎えた今年、「環境汚染や海洋資源の減少といった問題が持ちあがっているいま、世界中の人たちで海のことを考えよう」というワールドオーシャンズデイのムーブメントが日本でも立ち上がりました。日本の開催コンセプトは「世界と海がひとつになる日」 都内からもアクセスがよく海が近い新江ノ島水族館で、日本ではじめてワールドオーシャンズデイが開催されました。イベント当日は、地域で活躍しているアスリートや活動家が「海の未来、子どもたちの未来」について考えるトークショーや海の生態系を学ぶ親子で楽しめるワークショップ、海岸や海中のクリーンアップ、そしてシーカヤックやサーフィンといった海のアクティビティに参加できるコーナーなど、盛りだくさんの企画が集まりました。海の環境を考えるには、まず実際に海を感じること、そして海にふれることをきっかけにしてほしい、そのような想いがイベントではあふれていました。
イベントを主催した〈NPO法人ワールドオーシャンズデイ〉では世界的につづくムーブメント、「ワールドオーシャンズデイ(6月8日)」を軸に、国内外の海の団体ネットワークの強化と情報発信に取り組んでいます。海の環境保全のイベントや教育プログラムの企画・実施などを通して、海や水の循環を広く伝え、そして具体的な環境保全につながる取り組みを行う私たちといっしょに、海の恵みに感謝するとともに、持続可能な社会を未来のこどもたちへ残しませんか?