横田 真穂

パタゴニア入社までの道のり：

前職が宅配会社のカスタマーサービスでした。私が対応していたお客様の9割が、荷物が届かないとか、開けたら割れていたといったクレームです。だから、だいたいの人が怒っている。憤りを感じている人や感情が高ぶっている人と電話するのが私の仕事でした。
たまたま個人的に製品のことでパタゴニアのカスタマーサービスに問い合わせをしたことがありました。そのときに、マニュアルにはないような対応をしていただいたのが印象的だったんです。丁寧だけどかしこまってないし、敬語でも親しみ感がある。それでパタゴニアという会社に興味を持ちました。
私は海釣りが大好きで、そこから海のゴミが気になるようになり、環境問題に関するNPOの活動にも参加していました。そんなことも相まってパタゴニアのウェブサイトを見てみると、ちょうどリクルーティングセッションが開催されていました。そこで応募し、面接でオフィスを訪れた瞬間に、あ、私はここで働くんだと確信しました。まだ履歴書を出す前だったのですけどね。

カスタマーサービスの醍醐味とは？

お客様の抱える問題を解決できたときです。お客様の感情も一変し、ありがとうというポジティブな感情で話を終えることができる。解決できたことがなによりだなって思います。
もうひとつは、お客様からの喜びの声です。これはすごい製品ですねとか、環境に興味を覚えましたとか、この良さを友達にも教えますといった、最後に出てくるひと言を聞けたときに、ああ、良かったなと思います。お客様と価値を共感できた瞬間ですね。

これまでに最も記憶に残るできごとは？

「ワインは届いたけど、ほかのものが届かない」とお客様からご連絡をいただき、配送会社に確認したりして、最終的には解決できたのですが、その状況をお伝えするメールの最後に、「ご注文いただいたワイン、ちょっとインパクトがありますよ」とひと言入れたのです。
その余計なひと言にすごく反応してくれたのです。ちょうどパタゴニアプロビジョンズで新しい日本酒を扱い始めたときだったこともあり、そこからさらに話が盛り上がり、「思いがけず、こんなお話ができてうれしかった」と何度も言ってくださり、最終的には２種類の日本酒とスパイスの３点を追加で購入していただきました。
一見、業務上は必要ない余談でも、それが適度なスパイスとなって、お客様との関係性を深めることがある。それを実感できた瞬間です。それからは、電話でもメールでも、ちょっとしたスパイスを加えるように心がけています。

実店舗とカスタマーサービスの接客の違いをどう考えますか？

カスタマーサービスでの対応は顔が見えないため、対応がストアとは少し異なります。ストアでは見えるからこそ省く言葉があり、カスタマーサービスでは顔が見えないからこそプラスアルファで伝える言葉がある。そのバランスが大事だと思います。製品のお問い合わせをいただくときには、23番目（現在、直営店は22店舗）のストアと感じてもらえることを心がけています。

カスタマーサービスの仕事を楽しんでいますか？

楽しんでいます。すごく充実していますし、自分の目標に対して否定的なことを言う人がいない。まわりが純粋に応援してくれているのを、自分でも感じられる毎日です。

お気に入りのパタゴニア製品：

ブラックホール・ダッフルの55リットル。釣りのときにはウェーダーもブーツも入りますし、スノーボードではスノーウェアからヘルメット、ゴーグルまで全部入る。どこかに旅に出るときは、必ず使っている大好きなギアです。