森から潮へ:ハマハマ牡蠣
「私たちにとっては、潮が社長です」とワシントン州のピュージェット湾にある家族経営5代目の貝養殖場、ハマハマ・オイスターのアダム・ジェームスは語る。
「8月の終わりと9月、午前3時か4時に、ビーチで収穫します。太陽が昇ると一休みせずにはおれません。インスタグラムのなかったころを思い出させてくれます。ただその瞬間にとどまり、自分の幸運さに感謝する。最近ではこのような仕事を授かる人はあまりいません」
ジェームス一家は高祖父がハマハマ川の河口を囲む土地を購入した1890年以来、この養殖場を経営している。その水源は保護されたオリンピック山脈で、川の清潔な水はこの家族経営ビジネスにとって、つねに重要なものでありつづけている。
「淡水と海水の相互作用です」と語るのはアダムの姉妹リサ・ジェームス・モンバーグ。「塩分、水温、そして餌のすべてが牡蠣の味に影響し、それらの要因は湾によって違います。牡蠣は河口の栄養分を燃料とする藻類を食べますが、上流の環境からやってくるごくわずかの有機物質も食べます。だから淡水の質は下流の牡蠣の風味に多大な影響を与えます。川の純粋さは牡蠣の味に影響するため、手付かずの降雨林から流れ出る川の河口で養殖できるのは、本当に幸運なことです」
一家は養殖場の上にある山で材木業も営み、森林の枠組みのなかで多様性を促進するよう長めの間隔で、選択的な切り出しを実践している。小学生のときにはじめてバケツ一杯10ドルの牡蠣を集める仕事をしたアダムは、ほぼ毎日、ゴム長を履いて潮間帯地域で過ごす。
「ハマハマ牡蠣は河川デルタのど真ん中にある私たちのブルー・プールで、潮によって上下するバッグのなかで育てます」と彼は説明する。「たいてい干潮の3時間前に出かけて、取った牡蠣を木箱かバケツに収穫して、牡蠣袋に入れます。6時間後、満潮時に艀に出て、引っ掛け鉤で牡蠣袋を掴んで、取り入れます」
「牡蠣の商売は環境と経済の利害を、巧みな方法で同じ立場に置きます」と彼はつづける。「私たちは具体的な製品を生産するだけでなく、これが回復的な養殖であることも望んでいます。それは資源の投入をあまり必要としない高品質のタンパク質のものであり、私たちが相続したこの地の面倒を見つづけることができるものです。それに素晴らしい場所で働ける――いまやいちばんの仕事はそこを汚さないことです」
ハマハマ牡蠣
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