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地球が私たちの唯一の株主

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イヴォンの手紙を読む

金銭的動機

ジェリー・ロペス  /  2022年12月14日

1974年、オアフ島のワイメアベイで開催されたスミノフ杯。当時としては史上最高額の賞金が提示されたこの大会をジェリー・ロペスが回想する。

編集者注: この抜粋は、ジェリー・ロペスの回顧録『 Surf Is Where You Find It /日本語版』からのものです。2008 年に初版本が発行されたのち、新たにスノーボードとスタンドアップ・パドルのストーリーを含んだ改訂/増頁版が日本では2016年に発行されています。伝説のサーファーでありスケートボーダーでもあるステイシー・ペラルタがプロデュースした新しいドキュメンタリー『ジェリー・ロペスの陰と陽』のリリースに合わせて、ロブ・マチャドによる序文が掲載された本書をあらためてご紹介いたします。

全ての写真: Steve Wilkings

わたしの親しい友人バド・ブラウンは、インパクトゾーンの手前を泳ぎながら水中撮影をおこなっていたが、わたしを見かけると笑顔で「ナイスウェーブ!」と一声かけてくれた。

水中を自在に泳ぎまわるバドは、バラクーダの異名で知られていた。すでに60歳を迎えていたが、巨大な波の中を泳ぎまわる彼を心配する必要はまったくなかった。その日バドは巨大なセットにつかまり、人生最悪のホールドダウンを食らう。のちに彼はいつものさりげない調子で「歳を取りすぎたようだ」と言い残し、それを機にワイメアベイでの水中撮影から足を洗った。

ラインナップへ戻ると、さっそくリノ(アベリラ)に波の様子を訊いた。

「良かったけど、もっとでかい波を狙わないと」

なるほど、優勝するにはさらにチャージをかける必要があるだろう。後からやってきたもう幾つかのセットもそれまでと同等のサイズで、わたしたちはそのうちの数本をメイクした。そしてとうとう一回り大きいセットのお出ましとなり、わたしたちは腹を決めた。今度はわたしが1本目の波にパドルインを試みる。最初に乗った波よりもはるかに大きく、いっきに掘れ上がったため、すんでのところで退却。どうにか巻き上げられずにすんだものの、後方を振り向くと次の波が迫りつつあり、危うく心臓発作に見舞われそうになる。

かつてお目にかかったこともないような大波が目の前に立ちはだかり、位置的にそれを避けることは難しそうだ。リノはその波をつかまえようと必死にパドルし、わたしはそれから逃れようと死に物狂いで反対方向へ向かった。波のスロープ上ですれちがう瞬間、わたしたちは目線を交わした。テイクオフしたリノの真後ろで分厚いリップがめくれ上がるのが見えた。波のトップまではもう少しだったものの、すでにリップは飛びはじめ、パドリングで上から乗り越えるのは到底間に合わない。ボードから降りたわたしは崩れ落ちるリップを突き抜けるべく、ノーズを目一杯水面に押し込んだ。

桁外れに大きい波を相手取り、やけくそな行動が吉と出たのだろう。ボードは狙いどおり波のトップを突き抜け、ぎりぎりのタイミングで身体ごと大波の裏側へと抜け出た。その先に自分の赤いボードが待ち受けているのを見て、ほっと胸をなでおろす。セットはこの2本だけで収束し、わたしは心臓の高鳴りを静めて呼吸を整える時間を確保することができた。

ラインナップへ戻ってきたリノは興奮しきっている様子だった。もちろんさきほどの巨大な波を乗り終えたからである。大き目のセットは、20フィート近いその日の平均サイズをさらに5~6フィート上回り、その後入ってきたセットはもう一段階サイズアップしていた。わたしたちよりも奥につけていた常連組が、一斉にアウトへパドルしはじめる。リノと一瞬顔を見合わせたのち、一言も交わさないままボードに腹這いになり、わたしたちは沖へ向かって一目散にパドリングしはじめた。

手前の波を乗り越える際、その奥から迫りくる巨大セットの全貌が見渡せた。すでに切り立っていた1本目の波は、その日に確認できた最大級の波をさらに10フィート近く上回り、だれもパドルインしようとしない。このセットの到来を早めに気づき、前もってアウトサイドへ移動をすませたおかげで全員無事に逃げおおせたが、桁外れに大きい波を乗り越えたわたしは胃袋が締め上げられるような感覚に苛まれた。いざ巻かれたとき、どれほどの苦難が待ち受けているか想像を巡らせるからだろう。ワイメアの常連組も含め、だれも挑戦を試みることなく、そのセットをやり過ごした。

間近であれほど巨大な波と対面するのはリノもわたしも初めてだったが、リノの目に宿る闘争心ははっきりと憶えている。さきほどの波をものにしたかったはずだ。それが優勝するための前提条件だということも承知していたが、あれほど途方もない大きさの波にパドルインする心構えができているかどうかは、定かでなかった。

決断するための猶予は多少与えられたものの、やがて次のセットが迫ってくるのが見えた。今度のも大きく、わたしたちは呼吸を整えてそれに備える。さきほどのセットに比べればサイズは落ちるものの、わたしたちがつかまえた波よりははるかに大きかった。パーフェクトに見えたセットの1本目はリノが行く素振りを見せたため、わたしは2本目を狙うことにし、それをやり過ごした。必死にパドルするリノの姿を目で追いつづけたものの、やがて波に隠れて見失う。

2本目の波は経験したことのない並外れた大きさだったが、すでにテイクオフポジションに身を置き、波はクリーンそのもの。なにも躊躇する理由はなく、わたしは反転して力の限りパドルした。波に押し上げられてボードに推進力が加わり、かなり早いタイミングでじゅうぶんなスピードに達する。ボードの上に立ち上がると、わたしは身体をかがめて長いドロップに備えた。すべて順調に運び、興奮が湧き上がる。

と、その瞬間、波のボトムが視界から消え去り、気づいたときには空中へ放り出されていた。ついさきほどまで感じていた良い手応えは消し飛び、自分が窮地に追い込まれたことを悟る。12フィート近い高低差を、ボードが足についたまま落下し、ノーズから着水した次の瞬間、頭から海面に突き刺さった。だが、皮肉にもそれが功を奏し、わたしは落下の勢いを保ったまま水中にダイブしたおかげでフェースを突き抜けることに成功した。でなければフェース上を跳ねまわり、あげくの果てにインパクトゾーンで直撃を食らっていただろう。

たまたま水中深くまでダイブし、波の裏側から抜け出ることができたのは、幸運このうえなかった。人生最悪のワイプアウトとなりかけた場面が、取るに足らない結末に転じたのだ。過ぎ去った大波の裏側で安全を確保し、深呼吸を繰り返してからボードを取りに岸まで泳いで戻った。第3ヒートの出場選手たちはすでにチャンネルで待機し、わたしがそばを通過すると質問攻めにあった。あれほど悲惨なワイプアウトからいかに生還できたのか、だれもが興味津々だった。わたしがたいしたことはなかったと笑い飛ばすと、彼らはクレイジーだと言わんばかりに首を振り、ラインナップへと向かっていった。頭の中では、おなじ窮地に立たされたときの覚悟を決めていたにちがいない。

ビーチに戻ると、グラビー・クラークがわたしのボードを持って待ち構えていた。

「いったい何のためにあんなことやらかしたんだ?」グラビーの第一声がそれだった。

ビーチにいただれもが、わたしが特大級の波に巻かれた瞬間を目撃し、悲惨極まりないワイプアウトだったと信じこんでいる。わたしは運よくピンチを切り抜けた事実を伏せておいた。

するとグラビーは声を張り上げた。「賞金に目がくらんだんだ。そうとしか思えない。さもなければ、あんな波に突っ込もうなんて思わないはずさ」

けっきょくわたしはセミファイナルを勝ち上がれなかったものの、本音を言えばほっとした。ファイナルに進出したリノはみごとなパフォーマンスを披露しつづけ、優勝した。

大会終了後、ビーチを後にして感謝祭の夕食会に参加したが、グラビーはそのあいだもずっとあたり構わず吹聴してまわった。「やつは絶対に賞金に目がくらんだんだ」

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