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あと4年、未来を守れるのは今:エネルギー政策に市民の声を

吉田 明子  /  2021年6月17日  /  アクティビズム

2021年夏、日本のエネルギー政策の大きな方向性を定める「エネルギー基本計画」の改定議論が最終局面を迎えています。残念ながら、世界の流れとは逆行していまだに原子力や化石燃料を重視する方向のエネルギー基本計画案に対して、少しでも市民の声を伝えたい、という思いで、市民のアクションが動いています。

2020年後半、エネルギー政策と気候変動政策の見直し議論が始まりました。特に若い世代で気候危機への関心が広がるなかで、NGOや若者の団体が連携し、2020年12月に「あと4年、未来を守れるのは今」キャンペーンが立ち上がりました。2030年には温室効果ガスを半減させなければなりません。そのために大きく舵を切るのに残された時間は最大でも「あと4年」。これがこのキャンペーン名の由来になります。現在、賛同団体は243団体です。

「原発も化石燃料も使わず、持続可能な再エネ100%の未来を」と求め、署名を軸に様々なアクションを展開してきました。発足記者会見や2月の「市民のエネルギー気候会議」では、農漁業者や原発事故の被災者、若者などから、気候危機やエネルギーシフトへの想いを訴えました。温室効果ガス削減目標の見直し、そしてエネルギー基本計画見直しに向け、ソーシャルメディアでクリエイティブなアクションが続いています。

「あと4年、未来を守れるのは今」キャンペーンの要望事項

  1. 気候・エネルギー政策の見直しは、若い世代を参加させ民主的で透明なプロセスで行うこと。
  2. 2030年までの温室効果ガス排出削減目標は、2010年比で少なくとも50%以上削減とすること。
  3. 2030年の電源構成は、省エネを第一に石炭火力と原発はゼロ、再エネ50%以上とすること。
  4. 原子力の利用をやめ、新増設や新型炉の開発は中止すること。
  5. 不確実で環境・社会影響が懸念される二酸化炭素回収・貯留などには頼らないこと。

エネルギー基本計画とは?
このエネルギー基本計画、実はとても課題の多いものです。震災前の2010年時点の計画では、原発を14基新設するということが書かれていました。震災後の2011年から2012年にかけては、原発事故を受けて大きな議論があり、2012年夏には、各地での意見聴取会や討論型世論調査など、複数の手法による「国民的議論」が行われ、最終的に「2030年代に原発をゼロにしていく」ことが決められました。」

ところが、その後政権交代が起こり、この歴史的な原発ゼロの決定は白紙から見直されることになってしまいました。2013~2014年、2017~2018年そして今回の見直しの際も、審議会の資料としてこの時の「国民的議論」に触れられることはありませんでした。2018年に決められた「第5次エネルギー基本計画」では、原子力と石炭火力について「重要なベースロード電源」と位置づけています。

これを、どう見直すのか?というのが現在の議論です。

議論開始から間もない2020年10月26日、菅首相は所信表明演説で「2050年にカーボンニュートラルを目指す」ことを宣言しました。具体的な方策や、その経過点である2030年の温室効果ガス削減目標と電源構成(いわゆるエネルギーミックス)をどうするのかが、今回の見直しの焦点となっており、議論には下記のような問題点があります。

・市民参加の機会がほとんどなく、世論と乖離した審議会
・福島第一原発事故の被害が過小評価されている
・いまだに「資源が乏しい我が国」という認識
・原発推進の明確化
・不確実・高リスクな新技術に依存した「カーボンニュートラル」
・ビジョンの欠如、これまでの体制の維持
・原発や化石燃料は安く、再エネは高く見積もる発電コスト検証

さらに、審議会の中では、複数の委員から、「原子力は新増設やリプレースに踏み込むべき」、「新型炉開発や核燃料サイクルも進めるべき」、「石炭も含め火力は引き続き重要でゼロエミッション化して活用すべき」など毎回強く主張されています。

原子力について、これまでは「依存度の低減」「新増設やリプレースは想定していない」と繰り返し言われてきましたが、最後の最後でそれが覆される可能性もまだ残っています。当初6月には素案が出る予定とされていましたが秋に延びているのも、この点が議論になっているためと報道されています。

このままでは気候危機をとめられず原発推進に?!
「え!!世界の流れは再エネへのシフトなのに?」、「気候危機を何とかするために、少なくとも石炭火力はやめなければならないのに?」悲しいことに、「気温上昇を1.5℃に抑える」、「持続可能な再エネ社会への転換」という世界の流れに、まったく逆行する議論が行われているのです。一部の経済界からはさらに、「もっと原発推進に踏み込むべき」などの意見が上がっています。

だからこそ今、市民の声を大きくあげることが必要なのです。「あと4年、未来を守れるのは今」キャンペーンでは6月10日、全国から集まった約20万筆の署名と、同趣旨の生活クラブの署名約7万筆をあわせのべ「274,830筆」として政府に提出しました。また、「G7直前全国アクション」として国会議事堂正門前や各地の自治体庁舎前など全国122か所でスタンディングアクションが行われました。

引き続き、市民の声を可視化し、今後呼びかけられる「パブリックコメント」に多くの市民の声を集めることは、とても重要です。エネルギー基本計画改定のスケジュールが遅れたことで、「少し時間ができた」ともいえるかもしれません。今後のアクションについて、「あと4年」キャンペーンでも議論しています。ぜひ皆さんと一緒につくっていけたらと思います。

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