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パタゴニアのウールの再開

パタゴニア  /  2016年8月4日  /  フットプリント, 環境

パタゴニアは過去10か月間にわたり、動物愛護と土地再生の両面において、検証可能で、かつ厳格な規格を遵守するウールの新しいサプライチェーンを構築するため、たゆまざる努力をしてきました。そしていくつかのキーポイントに到達した今、これまでに達成したこと、そしてまだ達成できていないことについて、お客様に直接ご報告したいと思います。

この背景について

2011年、パタゴニアは、ネイチャー・コンサーバンシーおよびオーヴィスXXI社とパートナーシップを組み、長年劣化していた草原の再生を助けるため、全体的視点にたった放牧方法によるメリノウール生産の新しいプログラムを開始しました。草原を再生することにより、アルゼンチン領パタゴニアにおいて消滅しつつある生活様式である、羊の放牧を存続することにもなりました。

当時はこれが草原を再生するための世界で最高のウール生産プログラムであり、動物の人道的な取扱いについての私たちパタゴニア社の知見を反映していました。クロバエがいないパタゴニア地方では羊は苦痛を伴うミュールズ手術(ハエの幼虫の寄生を防ぐために皮膚の一部を剥ぎ取る手術)は不要で、ホルモン剤や抗生物質の投与もなく、羊は自由に活動できる環境で飼育されていました。

2014年、パタゴニアはNPOであるテキスタイル・エクスチェンジの活動として、「Responsible Wool Standard」(責任あるウール規格)を開発する取り組みに着手していましたが、以前のパタゴニア自身のウールのサプライチェーンは、土地再生と動物愛護という2つの問題に対し、包括的な対策を取っていませんでした。

動物愛護団体〈PETA〉の代表者の撮影したパタゴニアのメリノウール調達牧場での動物虐待の写真に、私たちは動揺しました。〈PETA〉の主張の多くにそしてそのゴシップ風のやり方に疑問を感じましたが、ビデオで目にした、動物の苦しみへの冷酷な無関心さと慈悲のない扱いに驚きました。

パタゴニアは、草原再生を犠牲にせず、動物愛護において厳格な規格を満たすことができるという確信が持てるまでは、全てのサプライヤーからのウールの調達を止めることをお客様に説明しました。

以来私たちは多くを学び、それにより体制の立て直しができたことをうれしく思います。動物愛護の専門家との相談、アメリカ国内の動物の人道的扱いに献身する牧羊者との取組み、緻密な監査の実施、実際の土地活性化と動物の人道的取扱いに必要なことの細部に渡る観察というこれらの全工程は、従来農法のコットンからオーガニックコットンへと移行したときのことを思い出させます。パタゴニアは、要になる実務家と対話し、実際に何が可能なのかを見極め、可能な限りの最高のパートナーに参加いただく新しいサプライチェーンにおいて、最高の規格を提案しました。

畜産の厳しい現実

この課題の困難な問題について言及するいい機会かもしれません。ウールはダウン同様、究極的には食肉産業の副産物です。パタゴニアの社員の一部または〈PETA〉の活動家のような完全菜食主義者の方は、人間消費のための家畜の利用をしないという選択をします。それ以外の、つまり食肉を生産/消費し、ウール/ダウン/レザーを身につける人々にとっては、問題はより複雑です。動物が食肉処理前に苦しまず、確実に人道的に食肉処理されるために、あらゆる手段をとることは可能です。しかし、動物の人道的扱いのための21世紀の道徳規格を設定するためには、まだ多くの課題が残されています。

狭い劣悪な畜舎での飼育や輸送、ホルモン剤や抗生物質の大量投与、運動能力など動物の本来の能力を奪うことを目的とした遺伝子の操作など、20世紀社会における工業型畜産業で行われてきたのは、残酷な動物の取扱いでした。〈PETA〉のビデオで見た牧場労働者の行為は、産業として残酷というよりは、より直接的なものですが、それは何世紀にもわたって行われてきた動物の取扱いが深く染み付いた結果であるといえます。ではそれを変えるにはどうしたらいいのでしょうか?

ステップ1:動物愛護の専門家と相談

この疑問に答えるため、動物の感情的/知的能力、食用にする生き物の人道的な取り扱いとは、といった考察に重要な変化をもたらした数多くの専門家に相談しました。

国際的動物慈善団体である〈フォー・ポウズ〉やその他の動物愛護団体、また経験を積んだ現場監査人と直接取り組むことに加え、ベンチュラの本社にテンプル・グランディン博士を招き、人間に消費されるあらゆる種類の動物の人道的な扱いについて、生涯に渡って提唱してきた博士の知見を吸収しました。

この過程で、ウールのサプライチェーンにある羊の動物愛護の見地において、意義と責任ある改善のため、以下の3つの重要な事項を理解するに至りました。

  • 土地と羊を所有する牧場主から、最初に誓約を得ること
  • 牧場労働者を教育すること(彼らが適切に従事する場合、彼らが直接世話をする土地および動物の両方の健康のために大きな責任を果たすことが可能)
  • 重要な分野における明確に定義されたルール違反の境界線の設定(動物愛護のための最も高い規格において、明らかに超えてはならない一線)と、継続してこの規格の再評価と向上に取り組むこと

ステップ2:パタゴニアの動物愛護と土地再生規格の定義

新しいパタゴニアのウール規格の設定には何か月もかかりました。この規格は、動物愛護と責任ある土地再生についての重要な事項を盛り込んだ、世界で最も厳格な基準であるとパタゴニアは確信しています。

この規格は以下の鍵となる分野において、厳しいガイダンスと責任説明を提示しています。

動物愛護:パタゴニアの規格は、Responsible Wool Standard(RWS)の規定を動物愛護のベースとして採用しつつ、それ以上の条件を要求しています。

  • パタゴニアの規格は、牧場労働者による動物の人道的な取り扱い、羊毛を刈り取る際の怪我の防止、去勢と断尾の適切な年齢幅、餌と水の常時供給のみならず、輸送および農場外での食肉処理を含む特別な動物愛護規定を含みます。
  • 監査方法においても、RWSの規格以上の2段階の監査を要求します:1)剪毛の際に監査人が実際に剪毛慣行を観察し、規格が満たされていることを確認する。2)出産の際に監査人が出産工程、断尾、去勢、および関連するすべてのリスクについて監視する。(パタゴニアはグランディン博士のフィードバックに基づき、RWSに対してこの2段階監査の採用を提案しています。)

責任ある土地再生:パタゴニアの規格は、RWSの厳格な土地再生規定も含みます。パタゴニアはRWS規格設定にあたって主導的役割を担い、RWS規格は草原再生方法におけるパタゴニアの経験に基づいて設定されたものです。これらの規格は、羊が飼育される草原とその他の生物共同体の両方に関するものであり、生物多様性の保全、土壌再生、農薬/肥料の使用についても規定されています。

品質:ウールを含むいかなる原材料の調達において、これまで、そしてこれからも、品質はパタゴニアの規定の主要な柱となります。パタゴニアの品質規定はパタゴニアのウール規格から独立したものとして存在し、新しいサプライチェーンにおいてはウールの品質がさらに向上することを期待しています。

パタゴニアは、これらの重要な要素をともに稼動させ、サプライヤーとの強靭なパートナーシップを組み、ウールのサプライチェーンにおける羊の扱いが以下を確実に満たすようにするため、十分な責任説明義務を含む厳格な規格を構築しました:

  • 農場あるいは農場外における人道的な命の終焉
  • 合理的な輸送時間と安全な食品および水の消費を守る適切な安全措置
  • 羊毛の刈り取りとその他業務における牧場労働者による慎重かつ人道的な取り扱い
  • 潜在的に苦痛を伴う作業全ての、厳格な管理下での履行

結果的に、パタゴニアのウール規格が有する33の基準は、ここ数か月間で実施された最終段階の規格の評価に参加したグランディン博士ご自身によって提案されたものであり、またその他の多くが〈フォー・ポウズ〉、独立監査人、アメリカとニュージーランドの牧場およびその他の専門家および組織などの利害関係者による厳格な評価によって調整されたものです。

パタゴニアのウール規格はこちらでご覧いただけます(英語)。

ステップ3:パタゴニアの価値を共有するパートナーの選択

動物愛護の規格が整いはじめた時点で、動物愛護と土地の健康の回復にパタゴニアと同様の知識と情熱を持つ牧場を訪問しました。その後、RWSに提案された多くの利害関係者からの規格と、パタゴニアが独自に採用した人道的輸送および農場外での食肉処理についての措置を試行する監査に着手しました。

現在、新たにできた規格に基づき、2つの牧場とのパートナーシップ構築を開始しています:オレゴン州のワスコ郡にあるインペリアル・ストック・ランチと、ユタ州パークシティにあるレッド・パイン・ランド&ライブストック・カンパニーです。これらのサプライヤーはこれまで剪毛と羊の出産の際に第三者による独立監査を受け入れており、パタゴニアのウール規格の厳しい規定を履行できる素晴らしいパートナーであることに自信をもっています。

上記の2つの牧場は、将来のシーズンにおけるソックス生産に必要なウールをパタゴニアに提供します。メリノのベースレイヤーとその他の製品に必要なウールの調達については、他のパートナーを探し続けます。他のパートナーについても新しい規定のもと、完全な監査工程を実行します。

今後もパタゴニアの活動の進捗について、そして動物愛護と草原再生のための厳しい規格のもとに調達したウールを採用した製品についても、継続してご報告していきます。

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