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地球が私たちの唯一の株主

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一次資料

アレックス・ローザー  /  2020年12月21日  /  クライミング, スポーツ

2020年8月5日、アレックス・メゴスは3年にわたる60数回のトライののち、セユーズの長期プロジェクト「ビブリオグラフィー」をレッドポイントしました。彼は5.15d (9c)のグレードを示唆し、これをロッククライミングにおける過去最難ルートの候補に挙げています。僕らはレッドポイント後まもない彼と話しました。

Q: まずはおめでとう。どんな気分?
A: すごくいい気分。幸せだし、本当にホッとしてるよ。

Q: 最終日に岩場へ向かって登る最中、予感はあった?
A: ほぼゼロだった。最終日はすでに3日連続の日で、正直なところ岩場に行くのもあんまり乗り気じゃなかった。でも最低でももう一度トライする義務感を感じていた。

Q: 最初のトライはどうだった?
A: 実際すごくいい感じだった。最初のレストポイントでは、すぐに回復した。現にそのときにやる気が出た。僕にエネルギーがある証拠だったから。でもホールドを取り損なって、ボルダリングパートの最後のムーブで落ちた。当然ムカッとした。一度だけトライするつもりだったから。でも早く落ちたし、自分が期待していたようなトライじゃなかったから、もう一度だけやろうと思った。1時間休んで、取り付いた。最初のレストではかなりいい調子だった。1回目ほどじゃなかったけど、とてもいい感覚で。足を切らずにボルダリングパートをこなし、最終の15ムーブの前の2つ目の悪いレストで休んだ。とにかくとてもいいトライだった。すべてのホールドを完璧に取り、上部の核心を超えた。アンカーにクリップしたときは、ほんとに驚きだったよ!

Q: これはそもそもいつ始めたの?
A: 2017年6月にリアム・ロンズデールとメキシコの友だちミゲル・カサーとすごい1週間を過ごしたとき。ちょっとしたロードトリップをして、1週間のうちに3本の9a+ (5.15a)を登った。このプロジェクトをはじめてチェックしたのは、セユーズでのある夕方。アンカーまで1時間半かかった。長いあいだ誰もトライしていなかったから、チョークも付いていなかった。ボルトの間隔も近くないので、ちゃんと登らなければいけなかったけど、可能かどうかだけ試したかった。アンカーに着いたときの最初の思いは、すごくハードだけど可能だ、ということだった。

Q: ルートはどこにあるの? 詳細を教えて。
A: 核心までは8b+ (5.14a)で、実際の核心の10ムーブくらい下にレストがある。核心自体は4ムーブのボルダリング課題で、グレードはV12 (8a+)ほど。ボルダリング課題のあとはスタンスの悪いレストまで6ムーブ。ボルダームーブを終えてから終了点までは9a (5.14d)。

Q: このルートで課された精神的な過程について説明してくれる?
A: この過程の当初、最初に行ってトライしてみたとき、正直「完全に可能だ。絶対に登れる。ただ時間の問題だ」と思った。その旅では僕はすごく調子がよかったんだろう。だって2017年の9月、2度目に訪れたときはそれほど可能には思えなかったから。思っていたよりも、ずっと苦労した。そのあとは浮き沈みで、「登れそうだ」と思ったら、突如、ときとして同じ週に「くそっ、登れるチャンスなんてない」と思ったりした。
いくつか重要なことがあった。実際コンディションは僕にとってかなり重要だった。暑すぎて風のないなかでは、ムーブをこなせるチャンスはなかった。少なくともコンディションが良くなければ、登るのに十分な力はなかった。完璧である必要はなかったが、良好である必要はあった。
ついに精神的に参ったのは、良いトライは1日に1度しかないと感じたこと。最後の数日まで、実際にボルダリング課題を超えたらどんな調子でいられるのかさえ知りえなかった。それは不快だった。ボルダリング課題を一旦超えたら、その上はいい気分で簡単に感じるのか。それともレストで回復できず、疲れている分、よりハードに感じるのか。

[最初にこのルートをトライしたのち、アレックスが最終的にレッドポイントするまでには6度の旅、ほぼ60日の取り組み、大きなけが3つ、オリンピックの出場権獲得、世界的パンデミックとそのあとのオリンピックの延期を経た。]
Q: 「パーフェクト・ムンド」のときと比べるとどうだった? [アレックスは2018年、1か月にわたる旅で、16日のトライののち「パーフェクト・ムンド(9b+/5.15c)」を初登した。]
A: 「パーフェクト・ムンド」は1度の旅だった。スペインに行こうと決めて、行って、1か月を過ごして、「パーフェクト・ムンド」をレッドポイントして帰ってきた。でもこれは数年をかけたプロジェクトだった。6回か7回、このために戻ってきた。

Q: あの音は何だい? サツマイモでもすりおろしてるの?
A: ニンジンだよ、もちろん。

Q: やめてくれる? ひどい音がするから。
A: たしかに。じゃあこのまま食べることにするよ。

Q: それで、それから得た教訓は?
A: 教訓は、より時間をかければより難しいものを登れる、ということかな。

Q: それ笑える。
A: でも、正直なところ、それが教訓なんだ。ときとして不可能に感じながらも、より可能に思える日もある。このプロジェクトの2年目の2018年、2週間全然うまく行かなくて、登るチャンスは皆無だと感じたけど、戻りつづけた。ときとしていい気分ではなくても、時間と努力を投入しつづけなきゃならない。結果的にはそれが報われるかもしれないから。
それがもうひとつのこと。つまり、すべての努力が報われなくても平気でいなきゃならない。自分の限界で登りたければ、それが可能かどうかはわからないから。多くの時間を費やして、それで成功しなくても大丈夫、という心構えが必要。

Q: このルートには「パーフェクト・ムンド」と同じぐらいの執着があった?
A: ああ、それ以上だったと思う。これに対する執着の方がはるかに多い。

Q: ハードなルートをプロジェクトにする心構え、あるいはそれに対する観念はどう変わった?
A: 2017年にトライをはじめたとき、もしどれだけの時間がかかるかを知っていたら、このルートにそこまで投資する準備ができていたかどうかはわからない。でも、知らなかったから、「次の旅で登れるだろう」と思ってやりつづけた。そうしてただセユーズにいて、それに取り組んでいることが幸せな地点に達した。たとえば悪い日ですら、2017年の悪い日ほど重要じゃなかった。最終的には僕はかなり多くのことを学んだ。

Q: このルートで君の期待が繰りかえし満たされなかったのは興味深い。
A: 期待がまったく満たされなかった旅はたくさんある。最初の旅ですでに2セクションに分けて登っていたから、当然2度目の旅で登れると期待していた。僕の期待は2017年、2018年、2019年と満たされなかった。ある時点でこれにトライしつづける意味があるのか、ただ時間の無駄ではないかとも思った。でもまたある時点で、期待するべきではないことに気づいた。もし期待しなければ、それを逃すこともなく、最終的にレッドポイントできるかどうかにかかわらず、その過程がずっと容易になる。それははるかに優れたプロジェクトだった。

Q: 登った日はオリンピックに行っているはずだったよね?
A: 登れた日は東京でのファイナルが予定されていた前日だったと思う。それ自体ある意味奇妙だ。ナショナル・チームのコーチが口にするまでそれに気づかなかったけど、東京に行かなかった時間をフルに活用したと思うよ!

Q: オリンピックの延期はどうやって知ったの?
A: 僕はシェフィールドのコンペに行っていて、ナショナル・チームのWhatsAppグループのメッセージでオリンピックが2021年まで延期されたことを知った。実際ほっとした。正直それほど残念とは思わなかった。

Q: なぜ?
A: 多分そのときすでにコンペで自分にストレスを課しすぎていたからだと思う。だからコンペがキャンセルになって、オリンピックが突然延期になったってことは、ストレスが全部なくなって、自分を取り戻し、焦点をもう一度移して、少しおざなりにしていたロッククライミングに行ける、ってことだから。

Q: 明らかな時間的要素のほかに、オリンピックの延期とストレスからの解放によってレッドポイントがより可能になったと思う?
A: まちがいない。精神的空間を大きな意味で解放できたからね。オリンピックが今年だったら、セユーズに行ってこのプロジェクトにトライする精神的余裕はまったくなかったと思う。

Q: ルートの難易度は?
A: 5.15dだと思う。「パーフェクト・ムンド」より半グレードしかむずかしくないというのは奇妙に感じるけど。だってずっとハードだと思うから、最低でも僕にとってはね。明らかに初登者は完璧なシークエンスをすぐには見つけられないけが、それでも「パーフェクト・ムンド」で良いシークエンスを見つけるには、それほど時間はかからなかった。思うに「ビブリオグラフィー」はこれまでに登った多くの9bと比べて、絶対2グレードは高いと思うから、僕の提案は9c。でも断言はできない。これが9cかどうかは、トライした唯一の者だから言い難い。他の人がトライしてどう思うか教えてほしいね。

Q: ルートの質は?
A: ルートの質は実際いい。それがいちばん最も驚かされたこと。だって多くの場合、ハードなルートは登るのに素晴らしくはないからね。大抵ひとつの超むずかしいセクションがあって、それほど見た目は良くなかったりとか、ルートにインスピレーションを得られない理由は多数ある。でもこれは見た目も絶対的に素晴らしいし、世界最高の岩場のひとつにあって、まさにイカしたラインでムーブも良い。それらすべてが、僕がこれほど多くの時間を捧げることができた理由。

Q: いま何を着ているの?
A: 黄色のシャツ。誰も予期できなかっただろ? 下はフライフィッシュのついた青のバギーズ・ショーツ。間違いなく見事なスタイルさ。

Q: このルートが君の限界だと思う?
A: いい質問。僕が登れて、OKだと感じたことを考えると、僕の限界とは言えないと思う。だからもっとハードに登れるかもしれないけど、まったくわからないね。もうすでに思ってるから。最初の核心は、少なくとも自分自身をやる気にさせるのと同じくらいクールなものを見つけることで、それはさらにむずかしいことだって。だからどうだろうね。僕は自分がハードなクライミングのキャリアの出発点にいるだけだと思いたい。

Q: このルートを登るのに必要だったことすべてを考えるとき、そしてさらにハードに登るのに必要なことを考えるとき、どんな風に感じる?
A: そういうすべてを考えるときに思うのは、登れるかどうかわからずに、例えば100日をルートに投資することを平気だと思わなければならないということ。その準備ができたら、最終的に成功しなくても平気だったら、よりハードに登れるのかもしれない。

Q: 21歳のアレックス・メゴスにはそのような観点をもつことができたと思う?
A: 絶対「ノー」。その時点ではプロジェクトに10日を費やすことすら考えられなかった。でもいまの僕はひとつのルートに7回の旅をし、それ以上についても考慮している。

Q: 君は成長しているね、アレックス。
A: そうだよ。もうすぐ27歳だ。成長してるよ。

Q: 感謝したい人はいる?
A: ケンには間違いなく感謝してる。彼はわざわざ出向いてくれて、それが映画『ロットプンクト』の出発点となった。彼はつねに僕をサポートしてくれた。両親や姉にも感謝している。彼らは良くも悪くもいつも僕を支えてくれるから。そしてフィリックスと僕のガールフレンドのジェンヤ(カズベコバ)にも。彼女はハイキングには興味がないけど、僕と一緒に取り付きまでハイクしてくれて、うまく行かなかったときはいつも慰めてくれた。そしてもちろんパトリックとディッキー。彼らは15年も僕をコーチしてくれている。彼らがいなかったらいまの僕はないだろうね。

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