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イヴォンの手紙を読む

未登峰が誘い出すもの

Jason Thompson & アン・ギルバート・チェイス  /  2021年4月20日  /  クライミング, スポーツ

午前3時。私はシャンテルとジェイソンの脚を腰に押しつけられた状態で、3人用の寝袋に横たわっていた。月と星が黄色のシモンのテントを照らしていたが、寝袋の反対側から突き出た彼らの頭をかろうじて見分けられる程度だった。シャンテルがインリーチの天気予報を読みはじめた。彼女の声からは疲れが聞き取れた。1週間つづく高気圧の楽観的な予報は、またしても不安定な雪と強風へと崩れていった。テントのジッパーを開けて頭を出したジェイソンが、山の上部を覆う雲に気づいた。

その1年前の2018年9月、私の長年のクライミングパートナーであるシャンテル・アストーガが、私と夫のジェイソン・トンプソンにパキスタンのカラコルム山脈にあるプマリ・チッシュ山塊の写真を送ってきて、遠征の計画をしないかと誘った。見事なほどに険しく、雪に覆われたパキスタンの巨大な山々は、アルピニストなら誰もが達成したい目標のリストに載せていて、それは私も変わらなかった。私たちは12ヶ月かけてすべてを細かく計画し、好天を狙っていつでも準備が整っているよう、肉体的にも精神的にも鍛錬を積んだ。

アルパインクライミングに危険はつきものだ。天候、コンディション、個人の健康はあまりにも不確実で、クライマーがコントロールできることには限りがある。最善の決断を選んだとしても、大きな未登峰に関しては、私たちはつねに賭けをする。クライマーである私たちは完全に事態を掌握し、下す決断は正当なものだと考えたい。しかし現実には、山が私たちを支配し、私たちは頂上へ向かうまで負傷しないようにと願いながら、危険要因のすきまをくぐり抜ける。私は山で過ごした時間の代償を目撃してきた――命を落とした友人、壊れた関係、もう一度登ることに対する病的なまでの依存。私自身も危うい目に遭ってきた。巨大なセラックが私たちの前夜のテン場を一掃したり、雪崩に巻き込まれたり、ずっとひどい結果になりかねなかった滑落を経験したり。

そうしたものがクライミングをやめる理由になると言う人もいるだろう。でも私には確信がもてない。アルピニズムが危険なことは知っている。でも山が呈する未知の挑戦にはある程度の自由もある。肉体的かつ精神的な自由だけでなく、私たちの生き方に重くのしかかりはじめる社会的圧力からの自由。良い仕事に就き、家を買い、子どもをもち、社会が重要だとみなすチェックリストをこなしていく圧力。それらのことに価値や重要性を見出さないわけではないが、それが私たちの人生の唯一の道となるべきだとは、私は感じない。それと同時に、クライミングが私たちの人生唯一の焦点であるべきでないとも思う。必要なのはバランスだ。一歩下がってひと呼吸し、アルパインクライミングの危険性を内省するバランス。そうすれば、学びつづけ、成長し、自分のために、そしてコミュニティのために、より良い人間となるよう努力することができる。

シャンテルが天気予報を読み終えると、テントに静寂が満ちた。聞こえるのは私たちの浅い呼吸と寝袋のなかで不快にソワソワする音だけ。数分後、シャンテルが静かに言った。「あまりいい予報じゃないわね」その単純な言葉はテントの壁についた水滴のように空中をさまよい、私たちと私たちの希望を押さえつけた。これがプマリ・チッシュ東峰に登る最後のチャンスだった。その未登峰を登頂する最後のチャンスが失われたことを知り、敗北感が私たちの心に重くのしかかった。「まだ3日は好天がつづくみたいだから、登りに行ってどこまでやれるか試してもいいんじゃない」と私は言った。言いながら、それがどのように聞こえたかはわかっていた。自己中心的で無謀。でも私はそう思ったのだ。登頂のチャンスはないと知っていても登りたかった。過去12ヶ月をトレーニングに、そして最後の4週間は登るチャンスを待ちながら氷河の上で費やした。それらすべての努力が奪われることに、納得できなかった。

「数日後に大きな嵐の予報が出ているのに、大きな山に登ることがいい考えだと、本当に思う?」と、ジェイソンが穏やかに尋ねた。

「わからないわ。もしかしたら予報は変わるかもしれないし、もし変われば、いい場所にいるでしょう。わからない。ただクライミングに行くチャンスがほしいだけ……」と、私はシャンテルとジェイソンの両方を、そして最終的には自分自身を納得させようとしながら、訴えた。テント内の重い静寂は、早朝に周囲の氷河と山が目覚めると、消え失せた。

「登頂のチャンスがないのに登りに行って、すべてを危険にさらしたくないわ」と、シャンテルは言った。彼女の言葉は淡々としたものであり、誠実でもあった。

私は彼女が正しいとわかっていた。だがふと思った。なぜ私たちは登頂のための危険を引き受けることは厭わないのに、それ以外はそうでないのだろうか。私はこの疑問に何度も何度も戻ってくる。そして答えはまだ見つかっていない。私は冒険への愛とスポーツの純粋さのために登ることと、個人的な野心と成功への欲望のバランスをつねに求めている。未知のチャレンジを呈するアルパインクライミングを愛し、自分とパートナーだけで前進の道を見つける過程を愛しているのだ。クライミングパートナーとのあいだに培われる深い絆と信頼と自信は、私たちの人生の側面に置き換えることもできる。私にとって山と人生における危険は、必ずしも否定的なものではない。ときとしてそれは、過去に見たことも経験したこともなかったものに、私たちを開眼させる。ポーランド人クライマーのヴォイテク・クルティカは、次のように語ったと言われている。「ひとたび完全に打ちのめされると、周囲の小さなことをふたたび楽しみはじめることができる。勝利や栄光のためにではなく、自然や素敵な人たちを楽しむためにただ山に行くことを」山を登る危険は正当化できるのかもしれない。もしそれが自然、人類、そして自分自身との深い絆をもたらすのなら。

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