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サーフィン、フィッシング、トレッキング……私たちのアウトドアアクティビティと日本の9万基のダム問題

eコマース(丘、福島、森竹)  /  2014年11月28日  /  アクティビズム, 環境

皆様は「砂防ダム」という言葉をご存知だろうか。上の写真が砂防ダムである。トレッキングやフライフィッシングやキャンプなどに出かけたとき、一度くらい目にしたことがあるのではないだろうか。

砂防ダムは日本全国に約9万基ある。その圧倒的な数の存在とそれがもたらす悪影響を、私たちはあまり知らずにいた。滝のようなその姿の人工物を砂防ダムと呼ぶということを知ったのは、環境インターンシップ・プログラムを利用してサポートしている<渓流保護ネットワーク・砂防ダムを考える>の田口さんとお会いしてからだ。前述したように砂防ダムは日本全国に約9万基あり、その建設目的は土砂を貯め、災害を防止し、下流にある貯水ダムの堆砂を防ぐことにある。小学校では砂防ダムは土砂災害を防止するものであり、人びとの安全を守るためだと教えられる。一基の建設に数百億ほどもかかり、村をまるごとつぶしてしまうような貯水ダムとは違って、数億から数十億程度で建設できる砂防ダムは一基の予算が低く、貯水ダムのように問題が表面化されにくい。だがそれゆえにおびただしい数が建設されるため、環境や私たちの生活への悪影響という点では砂防ダムも見過ごせない。

具体的には、河川生物が往来できずに種の繁栄を妨げて多様性が失われることや、川から海への養分やミネラルの供給を妨げるために海が痩せてしまい、海草、魚、貝などの生育に悪影響をもたらすこと、また海への土砂供給を止めるため海岸線が侵食し、その侵食を防ぐために山から大量の土砂を運ぶために海岸線の工事に莫大な税金を投入されなければならないことなどが挙げられる。砂防ダムは一時的/短期的にみれば土砂を止める効果はもちろんある。ただし土砂が溜まってしまうとその機能が失われるため、次のダムをより上流に建設することになる。そして多額の税金をかけ、一定間隔置きにダムが建設しつづけられることになる。これまでも、ある年の春に建設が完了したにもかかわらず、夏から秋の豪雨により2~3度土砂が流入しただけでダムが埋まってしまったケースもあったと田口さんは話し、「このままいくと、一つの渓流すべてがダムに覆われることになる」と言う。また、老巧化した砂防ダムは損壊による災害発生の危険性も孕んでいる。年々山や河川と居住地が近くなっていることにも警鐘を鳴らし、下流域の土地利用、つまり土砂災害を見越した居住域との距離の改善も訴えている。

私たちは2012年と13年のボイス・ユア・チョイスを通して<渓流保護ネットワーク・砂防ダムを考えるの活動>をサポートし、それがきっかけで砂防ダムがもたらす悪影響を知った。サーフィンを楽しむメンバーの丘は、海岸浸食による線にある丘が浸食されていたため、波への悪影響は感じていたが、その原因がテトラポットや堤防だけでなく、砂防ダムが関係影響していることを知り、<渓流保護ネットワーク・砂防ダムを考える>の活動に興味をもったのだった。活動に参加するにつれて海だけでなく、河川環境への悪影響や無意味な人工物に無駄な税金を投入する現状を改善したいと思うようになり、当団体をサポートしつづけている。また前職で河川環境調査員をしていた森竹は、ダムが環境へ与える悪影響は理解しているつもりでいたが、<渓流保護ネットワーク・砂防ダムを考える>の活動を知ったあと、自分たちの知らない場所で多くのダムが作られていることや、またその現状を改善するために本気で行動している田口さんの姿を見て、「思っているだけではだめ、行動を起こさなければならない」と感じ、それを実行した。別のメンバーの福島は、パタゴニアに入社する前に郡上八幡からラフティングボートで長良川を川下りしたことがあった。そのときスタート地点の郡上八幡では美しく透き通っていた長良川が、河口に近づくにつれて淀み、臭いがして、前に進めなくなる体験をした。川からはなれてみるとヘドロがたまって開門することができない巨大な河口堰だった。あれほど美しかった川が死んでいく姿を見て、自分でも何か行動を起こしたいと思っていたという。

渓流保護ネットワーク・砂防ダムを考えるは「不必要な砂防ダムの建設を止めさせ、既存の砂防ダムの撤去と改修を通して渓流環境を守る」ことを目的とし、これまで長野県松本を中心に砂防ダム建設の中止を訴え、また既存の砂防ダムの解体や改修の実績を通して、全国の砂防ダム建設の中止/改修のサポートを行っている。砂防ダムの撤去や改修はさほど世間に知られてはいないが、実際にダムが取り除かれたり、改修されたりした事例はすでにあり、たとえば砂防ダムを撤去し、渓流復元改修を実現した松本市の牛伏川では、川虫の種類の増加が確認でき、長野県の絶滅危惧種であるノギカワゲラやツチガエルが復活している。また撤去/改修する以前は確認することができなかったイワナ(長野県準絶滅危惧種)の復活や産卵も行われるようになっている。このように実際に砂防ダムを撤去/改修した渓流では確実に河川環境の回復が確認できている。ただしダム撤去には予算そのものが付きにくく、担当行政との折衝もあって困難がつきまとう。そこで撤去に向けた第一歩として田口さんが現在提案している方法の一つがダムのスリット化だ。まずは砂防ダムによって分断された上流下流を繋げて一定の土砂の放流を促し、下流へ養分を供給して、河川生物が往来できる環境にするのである。

私たちは現在、長野県松本市を中心に砂防ダムの上流と下流、そしてダム撤去/改修後の川での虫やイワナの生態調査と生態系調査を行い、ダム撤去/改修後の影響を調べる活動をしている。またこれらを通して生態系を学びながら、沢登りやフライフィッシングなどの遊びさえも学んでいる。私たちが普段暮らす鎌倉市周辺と長野県松本市の距離を考えると、実際に現地で活動するにはさまざまな困難もある。だができることが多々あることも学んだ。もちろん現地で活動する市民の皆さんの存在があってのことだが、メールで調査データを受け取ってまとめたり、広報に関する協力をしたり、ファックスで砂防ダムを管理している砂防事務所や国交省に要望書を提出したり、鎌倉で講演会を催したり、遠くはなれていてもできることは多々ある。

そしてこの活動に協力してくれる人たちも少しずつ増えている。現地に足を運んで調査に協力してくれる方や、仕事を生かしてすばらしい写真で活動をサポートしてくれる方など、それぞれが得意分野を生かし、関わってくれている。

ダム撤去/改修は夢物語ではなく、実際に行われた事実がある。私たちそれぞれが愛する自然のフィールドや生態系を維持/回復するために集まり、活動を広げることで、さらに多くのダムの撤去が実現できることを信じて今日も活動をつづける。

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<渓流保護ネットワーク・砂防ダムを考える>は現在Change.orgで「島々谷川第6号砂防ダムの建設を見直していただきありがとうございます。」キャンペーンを実施しています。

これは第6号砂防ダム建設を見直し、自然が長い年月をかけてつくりあげた美しい景観を残してくれた、国土交通省松本砂防事務所に対する感謝のキャンペーンです。これからもすばらしい景観が続く川環境が維持されていくことを切に望みます。

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