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ムスタンの未踏峰「マンセイル峰」冒険的登頂記:女子大生4人と過ごした40日間ムスタンの旅

谷口 けい  /  2014年10月30日  /  クライミング, スポーツ

春のアラスカ遠征から帰国した翌々日、東京の街角での偶然の出会いからこの話ははじまった。日本山岳会学生部の女子遠征隊を結成して、ムスタンの未踏峰へ登ろうという計画が持ち上がり、今年ネパール政府が開放した、100座ほどの新しいピーク(未踏峰)のどれかにチャレンジできないだろうかというものだ。それは面白い!開放されたばかりのピークならば、他の遠征隊に登られてしまう前に登りに行こう。早い者勝ち、登ったもん勝ち、である。私自身、ムスタンを訪れたことがなく、1991年に開放されるまでムスタン王国として外国人入域が禁止されていたという魅惑の地であった。

メンバーたちは、立山登山研修所での学生リーダー研修会で私が教えた経緯もあり、山に関する経験も技術も(遠征レベルとしては)ほとんどないことも分かっていたが、一方でやる気だけは人一倍あるということを頼もしくも思っていた。そんなわけで、この女子学生ムスタン遠征隊にアドバイザーとして加わることになったのだ。夏の初めにこの話が決まり、秋の初めには出発するという、十分な技術トレーニングができないままのネパール行となった。しかしムスタンは遠い地、目的の山の麓に辿り着くまでに10日以上もトレッキングをしなければならない。高所順応も兼ねて、のんびりの行程だから、その途上で学生たちにヒマラヤ登山の「いろは」を伝えながら赴く。

日本を出るのも初めて、学校と家族という安全で安心な世界から一歩出るのも初めて、もちろん氷河なんて見るのも触れるのも初めて、なにせ富士山より高い所へ行くのが初めての娘たちだ。郷に入っては郷に従えの法則で、ネパールの台所に倣っての食事をする。すべての音が筒抜けの安宿ロッジに泊まり、共同水場で頭を洗う。チベット仏教寺院に詣で、チベット人とバター茶を飲み交わし、砂塵に巻かれながら目指す山へと向かってロバとともに歩きつづける――下痢をしたり、熱が出たり、吐き気や頭痛に悩まされたり、と順番に体調不良者が出る。遅々とした歩みに、目的の山はちっとも近づいてこない。幸か不幸か、そのお蔭でヒマラヤ登山の「いろは」について、彼女たちはより多く学ぶことができたのかも知れない。氷河を登りゆくときに必要な技術や道具、誰も踏んだことのない土地を歩ける幸せ、道なき山を切り開いて進める楽しみ、そして自分の命は自分で守らなければならないのだという冒険者たるものの教訓などを話しながら自分自身にも言い聞かせるのだった。

地図とGoogleマップだけで登る山をイメージしてきた。目指すマンセイル峰はいったいどこにあり、どんな壁が待ちかまえているのか。ムスタン王国の中心地、ローマンタンより先には何の情報もない。いくつかの川を渡り、ヤクの放牧される荒野を越え、触れるごとに動く巨岩の積み重なった谷を遡り、生きて帰れるよう道標にケルンを積んで、日本を出てから20日目に(恐らく)誰も触れたことのない氷河の末端に辿り着いた。氷河を登り、幾つかのクレバスを越えるとチベットの青空の下にマンセイル峰の岩壁が見えてきた。近い、と思ってからが遠い。氷河上を4人一本のロープに繋がって進む。なんと、チベット地方はいつだって青空の下にあると思っていたのに、モンスーン明け前の最後の嵐ともいうべき大雪がはじまった。白い氷河の上に、らくだの背中のように突き出たマンセイルの岩壁を、快適に登攀できると思っていたのに、結局はいつもの冬壁ミックス登攀となってしまった。学生たちにとっては相当刺激的な冒険となったことだろう。それでも未踏のピークを踏み、ホワイトアウトの中の下山をこなして無事に氷河を降りきり、最終キャンプまで戻れたときの、生きている幸せを実感している彼女たちの顔が忘れられない。

何度もヒマラヤの地へ足を向けてきたけれど、このムスタン遠征でも新しい発見がいくつもあった。カラフルなチベット仏教のストゥーパ(仏塔)、4,000メートルでのムスタン・エーデルワイス、5,000メートルで出会った不思議な植物、6,000メートルの氷河上で出会った小動物の死骸(おそらくユキヒョウの子ども)、モンスーン明けとともに頭上を飛んだアネハヅルの南下編隊、そしてムスタンの片田舎に残された河口慧海の足跡。いくつになっても、新しい出逢いのある人生って素敵だと改めて思う。

私たちの帰国直後に、我々の遠征地の途上にあったアンナプルナ山群での大雪被害により遭難された方の冥福をお祈りいたします。

谷口けいと日本山岳会学生部の女子遠征隊がヒマラヤ山脈の未踏峰・マンセイル峰(6,242メートル)の初登攀に成功。遠征のようすはこちらでもご覧いただけます。

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