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「脱原発をめざす首長会議」の挑戦

野平 晋作  /  2012年10月4日  /  アクティビズム, 環境

野平晋作(「首長会議」事務局/ピースボート

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『脱原発を志す市区町村長のネットワークを結成しましょう』

「今日は皆さんに手紙を持ってきました。『脱原発を志す市区町村長のネットワークを結成しましょう』という手紙です」

2012年1月15日、パシフィコ横浜にて開催された「脱原発世界会議」で「地域発・原発に頼らない社会のつくりかた」と題するセッションが行われ、その壇上で、静岡県湖西市の三上市長が首長会議の結成を呼びかけました。「私が原発反対を言いはじめたのは、9.11の『同時多発テロ』が起きたときです。世界貿易センタービルに衝突する大型旅客機を見て、『原発に大型旅客機が衝突したらどうなるんだろう』と、あちこち聞いてみたんです。答えは『耐えられるわけがない』でした。原発はテロに対しても非常に危険な存在です。しかも日本は地震が多く、原発事故を懸念していました。そしてそれは、東日本大震災で現実のものとなりました。もはや見過ごすことができず、市長として反原発を表明しました」 フォークシンガーの山本コウタロー氏とともに司会を務めていた元東京都国立市長の上原公子氏も、この会合を1回限りで終わらせるのではなく、恒常的なネットワークをつくる必要性を訴えました。上原氏は、「住民の生命と財産を守る責任を負っている首長の決意は重いです。スクラムを組んで国に物申す動きが生まれれば、大きな力になります」と訴えました。登壇されていたすべての首長がこの提案に賛同し、後日、恒常的なネットワークとして「脱原発をめざす首長会議」(以下、首長会議)が発足することが決まったのです。

安全な社会を実現するための首長会議

そして2012年4月28日、東京都の城南信用金庫にて、首長会議の設立総会が開催されました。城南信用金庫は、福島原発事故以降、東電株の売却し、PPS(新規電力事業者)との契約に切り替えるなど、脱原発を実践している金融機関です。吉原毅理事長の協力で首長会議の設立総会を城南信用金庫でさせていただきました。設立総会では、規約案や活動案などが提案され、承認されました。首長会議は、「住民の生命・財産を守る首長の責務を自覚し、安全な社会を実現するため原子力発電所をなくすこと」を目的とし、脱原発社会のために(1)新しい原発は作らない、(2)できるだけ早期に原発をゼロをめざす、ことを掲げました。その達成のため、(1)原発の実態を把握する(福島原発事故の実態を把握、原価、核燃料サイクル、最終処分場等)、(2)原発ゼロに至るまでの行程を明確にする、(3)地域での再生可能なエネルギーを推進する具体策を作る、(4)世界との連携を通じて情報を共有する、(5) 子どもや食品など家庭生活に直結する問題について積極的に支援を行う、(6) 福島の支援、に取り組むことにしました。事務局は首長会議が「脱原発世界会議」をきっかけに発足したところから、脱原発世界会議の事務局を勤めているピースボートが首長会議の事務局も担うことになり、元職6名を含む全国64名の市区町村長で首長会議は発足しました。

それぞれの首長の思いと再生可能エネルギーへの取り組み

当会の世話人となった南相馬市の桜井市長は、「南相馬市でも71,000人のうち20,000人以上が避難を余儀なくされています。警戒区域が解除されても戻れるような状態ではありません。福島のそのような現実に対応できないまま、原発再稼働に向かおうとしている政府の動きに、地元住民は不安を抱き、自分たちが「棄民」にされたとさえ感じています。希望をもって暮らせる社会をつくるには、日本の原子力政策を大きく転換し、新しい政策を推進していかなければなりません。そのことを全国の人びとに伝えるとともに、福島原発事故を踏まえ、首長同士の連携のなかで原子力政策の転換を国に求めていきたい」と訴えました。原発立地自治体で唯一参加し、世話人になった村上村長は、「原発と長年共存してきたが、福島の原発事故による天文学的な被害をみて、見切りをつけるときだと考えました。JOC事故を経験したときも、原子力をコントロールする社会的なシステムをつくることはできないと思いました。そのときの問題解決が図れなかったために、福島で事故が起きたわけです。世界有数の地震国である日本に多数の原発をつくって平然としている国に対して不信感をもっています。日本は原子力をもつ資格はありません。脱原発をめざす首長会議に参加したことを誇りに思います」と語りました。

神奈川県小田原市の加藤憲一市長は「足柄茶から放射性セシウムが検出され、大打撃を受け、現在は再生可能エネルギーをもつ努力をしている」と語りました。千葉県長生村の石井村長は過去の原発事故から学び、いまこそ脱原発自然エネルギーを進めていくべきだと述べ、太陽光エネルギーに対する村民への県の補助金に村単独で上乗せしている事例を紹介しました。世田谷区の保坂区長は世田谷区の取り組みとして、東京電力に対し世田谷区の電気使用量の情報公開を求めた事例を紹介しました。そして今後は、世田谷区(46万世帯)での太陽光パネルなどを通した再生可能エネルギーの促進、福島や静岡などで作られる自然再生エネルギーの購入などを通した取り組みを行っていきたいとの考えを示しました。新潟県の元巻町町長の笹口孝明氏は東北電力による巻原発建設が中止に至った経緯を、全国初で行われた住民投票を含めて紹介しました。そして、原発は国策だから住民が口を出すのはおかしいという話がありますが、住民の生命、財産に関係があるため住民が声を出すべきで、国民的議論がなされた上でその結果が国策に生かされていくべきだと語りました。

会員となる潜在首長はもっと多いはず

首長会議は政府に対して大飯原発の再稼働に抗議する申し入れや、京都大学の植田和弘教授を招いて、「新しいエネルギー基本計画」についての学習会などの活動を行っています。また、自然エネルギーについてヨーロッパの先進事例を学ぶべく視察ツアーも検討しています。12月15日には福島県の郡山市にて、政府とIAEAが共催で原子力安全閣僚会議を行います。それに対抗して同じ郡山市で首長会議を開催する予定です。9月25日現在、 首長会議は36都道府県80名(元職11名含む)が会員となっています。今後、首長会議が社会において発言力を増していくためには、さらに会員を増やす必要があります。カタログハウスの「通販生活」(2012年夏号)が実施したアンケートによると、全国1685の自治体にアンケートを送付し、「全国すべての原子力発電所について、今後、どのようにすべきか」という質問に対し、即時、廃炉にすべきが2.2%、10年以内に廃炉すべきが14%、40年の間に廃炉すべきが33.9%、今後も存続、新規の増設も認めるべきが0.8%、その他が49.1%という結果になっています。首長会議の目標である(1)新しい原発は作らない、(2) できるだけ早期に原発をゼロにするということを、このアンケートの結果に当てはめると、会員になる首長はもっと多いはずです。

お住まいの自治体の首長に「脱原発をめざす首長会議」の会員になることを求める請願をしましょう。「脱原発をめざす首長会議」の詳細および現会員についてはこちらをご覧ください。

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現在配布中の『Alpine2012』カタログ中綴じのハガキで、お住まいの自治体の首長に「脱原発をめざす首長会議」の会員になることを求める請願をしましょう。ハガキは全国のパタゴニア直営店でもご用意しています。また、こちらからダウンロードもしていただけます。

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さらにパタゴニア日本支社では、個人向けグリーン電力証書「えねぱそ」直営店およびオンラインショップにて販売しています。購入することで、電力会社からの電気の契約はそのままに、自宅やお店で自身の選んだ自然エネルギーによる電気を使用しているとみなされ、どこでどうやって生まれた電気かを明らかにすることもできます。また、「えねぱそ」を購入する個人が増えることで太陽や風力など自然エネルギーによる発電所が増え、その結果、市民が電気を選べる新しいエネルギー社会を創造することにもつながります。

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