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冒険でいっぱいの旅はつづく

キティ・キャルフーン  /  2015年10月1日  /  クライミング, スポーツ

年をとるにつれて私にとっても友だちにとっても、普通のライフスタイルに収まってしまう危険はより現実のものとなる。芝生を刈り、車のオイル交換をし、歯医者に行く。近頃では、選択肢があれば、マルチピッチのルートに1日を費やすよりも数ピッチのスポーツクライミングでワークアウトをすることの方を好む。冒険の感覚と自信は若さとともに薄らいでいる。イヴォン・シュイナードはかつてこう言った。「すべてがうまく行かないとき、はじめて冒険がはじまる」

私は本当に冒険を経験したいのか?それに伴うすべての恐怖、未知と苦しさもひっくるめて。その一方、私はまったくの健康体で、ふたたび自分を試さない理由はない。そこで気の緩みという雪だるま式の坂道から逸れる手段として、エル・キャピタンにある短いが険しく適度なエイドルートの「タンジェリン・トリップ」が完璧な経験だと決めた。

キャレン・ボックルと私は、すでに去年の秋に「トリップ」に挑戦したが、彼女の術後間もない膝が大声で抗議したため、4ピッチ目で敗退していた。今日、バレーへふたたび運転していくと、巨大で頑固な低気圧が私らを謀っていた。でも「トリップ」はハングしているから、おそらく濡れもしないだろう。よくあることだが、コミットすることがいちばん困難なステップだ。そこで私たちは友人のヨシコ・ミヤザキ=バックに精神的かつ戦略的支援を請いだ。彼女は前回のハイポイントまでの荷揚げとフィックスを手伝ったあと、ロープが木に絡まるのを防ぐためにホールバッグとともに懸垂下降した。

キャレンと私は行動を開始した。考えるのではなく、ただロボットのように動く。私はギアラックを整理し、彼女はロープを重ね直す。彼女のビレイで私は核心ピッチに取り付いた。24メートル先には古くズタズタになった鉄のコッパーヘッドが連なっていた。最初のヘッドをテストし、体重をかけて次のヘッドへと進むと、途端に頭から滑落した。

「キャレン、止めて」と叫んだ。私は5〜6メートル落ちたところで止まった。爆発的な腹筋のムーブで何とか直立することができた。恐怖を頭のなかに侵入させることは許されなかった。敗退の方が難しいからだ。アドレナリンが沸き上がるなか、最後のプロテクションまで自分を引き上げはじめた。私はとにかく日が落ちる前に第6ピッチを終えたかった。日が沈むのと同時に、私はアンカーに到達した。

疲れ果てた私は用を足さなければならず、7キロのギアラックを焦ってアンカーにクリップしようとして、エイドには必須のフックを全部落としてしまった。カチャッという音を立ててそれらは空中を舞い、はるか下の地面にあっけなく落ちた。キャレンがピッチを回収し終え、ビレイに到達すると、私は落胆した声で「フックを落としてしまった」と告げた。

ドイツ人で物理の学位をもち、陸上の奨学金でアメリカへ引っ越してきたキャレンは、ビッグウォールの経験はほとんどなかった。それでも彼女は音を聞いた途端、その影響を悟った。彼女は私の背を軽く叩き、歌うような声で「あなたのおかげで核心ピッチを登れたわ。ポータレッジを設営しましょう。大丈夫よ」と言った。私は彼女の言葉を信じることにし、それに従った。彼女がすでに降伏することなく物事を受け入れることを学んでいたことは明らかだった。

断続的な睡眠のあと、不安でいっぱいのなかを次のリードに乗り出した。フッキングのセクションがいくつかあり、私はナッツキーとバードビークで乗り切れることを期待していた。フックの方がビークよりもずっと岩に密着して効きが良いので、ビークからビークへと体重を移動するときはスムーズさが要求された。ロープの弛みを要求し、最初のビークへとゆっくりと荷重したとき、私はキャレンからは見えないところにいて、声もほとんど聞こえていなかった。私は「信頼してコミットすること」と、ひとり言を立てつづけにつぶやきはじめた。ビークは一度もぐらつくことなく、私はアンカーに到達した。これでエル・キャピタンを登れる……。キャレンも私の目の輝きを見た瞬間にこれを悟った。

私たちは1日3ピッチしか登れなかった。いくつかのリードに4時間以上もかかったからだ。間隔が開いたボタンボルトには届かなかったため、リベットハンガーをナッツキーの付いた固いクイックドローにテープで留め、エクステンダーを作った。このテープに巻かれたグラグラのチョンボ棒は、ドクター・セウスの本に出てくるような代物に見えた。(オー、命を預けるぐらつくチョンボ棒よ…) 私はあまりのストレスのため、十分に給水することを忘れていた。表面置換型手術を受けた人工股関節が音を立てて抗議しはじめた。

登攀開始から5日目、私はついに限界に達した。エクステンダーを使うことがあまりにも単調で、ビークでフッキングすることを考えはじめた。ソロクライマーがキャレンに追いつき、彼らの笑い声が聞こえた。疲労困憊していた私は課題を解くプロセスに喜びを感じなくなっていた。私はキャレンの新しい友達へ向かって「追い越したい? 上からロープを降ろしてくれてもいいわ!」と叫ぶと涙が頬を伝った。

彼は笑いながらこう返事をした。「いや、お先にどうぞ。僕のフックを貸してあげるよ」

そのときのフックのオファーは神のご加護のようだった。私は涙を拭き、ふたたびコミットした。ビークよりも安定したギアで移動していくのはとても安心感があった。事実、かつて怪しげだと感じたフックは、いまではアンカーのように感じられた。落としていなかったら、おそらくまだそれに体重を乗せるのにも不安があったに違いない。エイドクライマーとしての技術、またその自信も不十分だっただろう。別名「外傷後成長」としても知られる「試練に乗り越えた者は強くなる」ということわざは、たぶん真実なのだろう。

数時間後、キャレンと私は頂上に到達し、私は成功の余韻に浸っていた。デッキにニスを塗り、洗濯をする生活に戻ったが、この経験のおかげで日常をより感謝できるようになった。それでも満足感には時間制限がある。しばらくすれば、毎日の仕事の山すらも次の冒険への必要性を妨げることはできないだろう。

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