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ツリーライン:芯となるもの

玉井 太朗  /  2019年2月18日  /  スノー, アクティビズム, スポーツ, 環境

木々は私たちの最長寿の仲間です。彼らは時間の流れを記録し、根を通してメッセージを発信し、日陰や避難所や積雪を支えるなどの手段を通じて、地域社会を形成しながらある種の安全と、自由を与えてくれます。『Treeline(ツリーライン)』はそんな木々についての新しい映画で、日本、ブリティッシュ・コロンビア、ネバダの3つの素晴らしい森で過ごす、山を愛する人びとを紹介します。

4つからなるストーリーの3つ目のエッセイをお楽しみください。

北海道のニセコを滑るということは、木々のあいだを滑るということだ。その樹種はダケカンバという、バーチ系の固いよじれ曲がった木。横に不規則に手を広げた広葉樹で、その枝ぶりと不規則な配列がライダーの個性を引き出してくれる。この森は決して急とはいえないテレインで、それはたとえば、自由自在にカーブの弧を変えられるテールボトムやサイドカーブのデザイン、そしてコンケーブ地形でのトランジションへのアプローチをスムーズにするのに必要なノーズロッカーなど、僕のブランドであるGentemstick(ゲンテンスティック)のボードデザインにも大きく影響した。

ほかにもさまざまなアイデアが生まれ出てきたが、僕は滑りの究極の目的は自然と同化することだと考えている。たとえば速く滑る、あるいは勝つために滑るのであれば、素材に糸目はつけないだろう。この世にはさまざまな素材があるが、木の乗り心地に勝るものはない。木は僕たちの生活に不可欠な身近なもの。だから色々な木を芯材として使用し、乗り心地の違いを楽しむことができる。木を使う以上、無駄なものは作らない。僕は使い捨てのボードなど作りたくはない。

僕がいま、いちばん気に入っている芯材が採れる森がある。森のなかを渓流が貫き、美しい朱点が見事なアマゴという魚が泳いでいる。その森に、一般の立ち入りが制限されている特別な場所がある。徳川家康が各地に次から次へと城を建てた時代に大量のヒノキが必要となり、そのために皆伐された場所だ。だが大切に管理されてきたその森には、大規模な伐採直後から、樹齢300 年の木が集まった。そこはまた、2000年の歴史を誇る伊勢神宮の式年遷宮(20 年に一度建て替えられる儀式)に使われる特別なヒノキの森でもある。僕の使用するヒノキはこうした地域で伐採される若い木だ。ヒノキはある程度若い木の方がしなやかさが残っていて、スノーボードの芯材としては有力なのだ。この森のある「ひのきの里」の上松町の皆さんのご好意で、その間伐材のなかでも縦に継ぎ目がなく、コブも節もない、贅沢なストレートな材をまるまる使わせていただいている。ヒノキの継ぎ目のない美しい一枚板の芯材により、木々のあいだを滑るときに素晴らしい乗り心地を味わうことができる。Gentemstick のボードが体現するのは、僕が自然と森の声に耳を傾けて築いてきた哲学だ。

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